HANA－BI（1998年 日本ヘラルド映画）

不治の病に冒され　余命僅かとなった　妻・美幸（岸本加世子）　を見舞っていた　刑事の　西佳敬（ビートたけし）　は自分の代わりに張り込んでいた　堀部泰助（大杉漣）　が撃たれたと知らせを受ける。
一命こそ取りとめたものの　堀部は車椅子での生活を余儀なくされる・・・
西たちは犯人を追い詰めるが　抵抗する犯人が発砲。西の部下が犠牲になってしまう。




このことがきっかけで　刑事を退職した西は　暴力団から金を借り　美幸に何不自由ない生活をと思い立つが　当然のように返済は滞っていく・・・
一方　車椅子生活となった堀部は　妻と子にも出ていかれてしまい　自殺未遂を起こしながら孤独に生きている・・・


首が回らなくなった西は　堀部と　犠牲となった部下の妻へ金を残し　美幸を最後の旅行に連れて行こうと　銀行強盗を犯してしまう・・・

美幸との旅行中　追いかけてきたヤクザを皆殺しにし　最後は元同僚の刑事に追い詰められる。

そして　ヤクザから奪っていた拳銃で　妻・美幸を・・・　その後に　自身も・・・



他に　寺島進　芦川誠　逸見太郎　西沢仁　白竜　薬師寺保栄　渡辺哲　など

極端に台詞が少なく　表情や情景から　いろいろな想像を掻き立てられ　考えさせられる作品です。
鮮やかに大きく輝き　一瞬で消える　HANABI・・・　北野武監督独特の暴力描写も見事です。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（敬称略）

タグ：白竜 大杉漣 薬師寺保栄 渡辺哲 寺島進 逸見太郎 北野武 日本ヘラルド 花火 HANA－BI 岸本加世子 ビートたけし

愛を積むひと（2015年 アスミックエース/松竹）

大切な人へ　のこしたいものは　何ですか。



東京で営んでいた小さな町工場と土地を売り　借金を返済した　小林篤史（佐藤浩市）　は　妻・良子（樋口可南子）　の希望で北海道に移り住む。
以前は外国人が住んでいたという洋風の家を手に入れ　良子はガーデニングや家庭菜園を楽しみながら　ささやかに暮らしていた。
一方で仕事人間から仕事がなくなった篤史は　毎日が手持無沙汰。見かねた良子は憧れでもあった石塀作りを頼む。



患っている心臓の具合がよくならず　自らの時があとわずかとなっていることを篤史には告げずに　塀づくりを手伝っている　杉本徹（野村周平）　やその彼女　上田紗英（杉咲花）　にも明るく我が子のように振る舞う良子。
不倫の末に周囲を巻き込んだ騒動を起こしてしまい　東京で一人暮らしをしている　　一人娘・聡子（北川景子）　と篤史の関係をも心配している。

幸せな時が続くことを願う篤史だが　その時は突然訪れる・・・

亡くなった良子はこれからの篤史を案じて　数々の手紙を家の中に隠していた。
高校を中退し　自らの犯した過ちから必死に立ち直ろうとする徹や　彼を愛し支える紗英。そして徹の子を身籠った紗英を愛し　最後は大きな気持ちで若い二人を受け入れ支えようとする　紗英の両親　上田熊二（柄本明）　と　美智子（吉田羊）。



ゆっくりとした流れの中で　人を想い　人を支え　いかなる状況であれ家族を愛する・・・人生を重ねた初老夫婦の年輪を　佐藤浩市　樋口可南子　柄本明　らが表現しています。

他に　佐戸井けん太　　岡田義徳　など

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（敬称略）

タグ：愛を積むひと アスミックエース 松竹 佐藤浩市 樋口可南子 野村周平 杉咲花 北川景子 柄本明 石塀 邦画 岡田義徳 佐戸井けん太 吉田羊

死にゆく妻との旅路（2011年 ゴー・シネマ）

この生き方が間違っていたとは言えないし　正しいとも言えない。（三浦友和）
こんなにも人を愛することが出来るなんて　素晴らしいと思いました。（石田ゆり子）

借金でどうにもならなくなった男性の手記（実話）をもとに製作された作品。ほぼ　三浦友和　と　石田ゆり子　の二人芝居であり　表面上の事実とともに　やさしさや葛藤　口惜しさ　やり切れなさ　前を向こうとする努力　折れそうになる心　などの内面が何重にも表現されています。
人生の半分以上が過ぎ　死を意識し始める年齢にさしかかり　深く考えさせられる作品です。



二人でいたことが　なぜ　罪になるのですか？

石川県七尾市で縫製工場を経営していた　清水久典（三浦友和）　は11歳年下の妻　清水ひとみ（石田ゆり子）　と一人娘　沙織（西原亜希）　と普通に幸せに暮らして
いた。
しかし　知人の保証人になったことから一変　多額の借金を抱えてしまい　資金繰り
に詰まった工場は倒産。４千万円もの負債を抱えて途方に暮れ　逃げ回っている。

追い打ちをかけるように妻の　ひとみ（石田ゆり子）　が大腸癌に侵され　手術で取り
除いたものの　医師からは再発の可能性を告げられる・・・
病院を拒み　久典と過ごすことを願うひとみ・・・久典はなけなしの50万円と残った
ワゴン車でひとみを連れてあてのない旅に出る。



自己破産を拒み　身内親類にも砂をかけるように出て行った久典・・・次第に50万円
は底をつき始め　仕事も見つからず　食べ物にも困り始める。
ある時から　とうとう　ひとみの癌が再発。日に日に様態が悪くなるひとみと　それで
も旅を続ける久典。　その想いは・・・



そして　ひとみは静かに最後の時を迎える・・・


他に　十貫寺梅軒　田島令子　常田富士男　など。

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タグ：邦画 死にゆく妻との旅路 三浦友和 石田ゆり子 西原亜希 ゴー・シネマ 夫婦愛

ボクの妻と結婚してください。（2016年 東宝）

余命６ヶ月　最愛の人に贈る　やさしい嘘とは？



複数の放送局で多くのレギュラーを抱えるバラエティ放送作家　三村修治（織田裕二）　は身体に異変を感じ検査を受ける。

診断は　末期の膵臓がん・・・余命６ヶ月・・・

自分の亡き後　専業主婦の妻　三村彩子（吉田羊）　と　まだ小学生の一人息子　三村陽一郎（込江海翔）　はどんな思いをし　どんな苦労をするだろう・・・
何とか二人を笑顔にできないか・・・

「妻の結婚相手を探そう」

突拍子もなく　そして　とてつもない修治の発想を　元・仕事仲間で　現在は結婚相談所の社長　知多かおり（高島礼子）　が後押しする。
そして修治が見初めた最高の相手が　インテリア販売会社経営　伊東正蔵（原田泰造）　だった。
真面目で誠実　生活力もあり独身。彩子の再婚相手としては申し分なく　陽一郎のことも可愛がってくれるだろうと　修治は懸命に正蔵を口説く・・・



妻と息子を愛する余りに思いついた　命懸けの企画・・・
そして　最高の　エンディングが　素晴らしい夫婦愛を感じさせる・・・

他に　大杉漣　小堺一機　など



公開前のプロモーションから気になっていて　劇場で観ようと思っていました。よくもこんなことが思いつくなと原作に驚きながら・・・そして織田裕二と吉田羊はもちろんのこと　原田泰造の何とも言えない表現力。やさしさと男気と人間味溢れる伊藤正蔵を　見事に・・・本当に見事に演じています。
上っ面ではなく　愛する家族の幸せを　本当に願うのであれば・・・という無念と想いに震わされます。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（敬称略）

タグ：ボクの妻と結婚してください 東宝 織田裕二 吉田羊 高島礼子 原田泰造 込江海翔 すい臓がん 大杉漣 邦画

白ゆき姫殺人事件（2014年 松竹）

長野県しぐれ谷国立公園で　化粧品会社OL　三木典子（奈々緒）　がメッタ刺しにされ　燃やされて発見　全国的に大きなニュースとなる。
典子の後輩　狩野里沙子（蓮沸美沙子）　は大学時代の友人で　ワイドショー「カベミミッ！」の制作を請け負う契約ディレクター　赤星雄治（綾野剛）　に情報を知らせる。
ネットオタクでもある赤星は　事件の詳細をツイッターでつぶやき始め　「白ゆき姫殺人事件」　と呼ばれるようになる・・・



ワイドショーで取り上げるべく取材を進める赤星。すると1人の女性　典子と同期入社の　城野美姫（井上真央）　が失踪していることがわかる。
そして　同期入社ということもあり　絶世の美女で派手な　典子と　地味で目立たない　美姫は　何かと比較されていたことを知る。



「城に住んでいる美しい姫」と名前をイジられ　美姫が純粋に想いを寄せていた会社の　篠山聡史（金子ノブアキ）　と上手くいきかけていたのを邪魔され・・・
気に入っていた音楽グループのことでも　美姫は典子に傷つけられてしまう。
劣等感の募った美姫が罪を犯してしまったと赤星は取材を進め　ワイドショーも報じる。事件当日の怪しい美姫の行動を証言する同僚たち　また幼少時代を知る人たちも　口を揃えて彼女の妖しい内面を暴露する。

殺人犯は　城野美姫　と確信を持った赤星は有頂天で番組を制作し　ツイッターでも強気の書き込みが続く。
美姫は　親が危篤と嘘をつき　会社を休み　一人身を隠している。

そんな渦中でも　たった一人　小学校時代の親友　谷村夕子（貫地谷しほり）　だけは美姫を信じていた・・・二人はある事件をきっかけに　双方の親から会う事を禁じられていたのだが・・・

そして　思いもよらない犯人逮捕で　事件は結末へと向かう・・・

宮地真緒　芦川誠　ダンカン　秋野暢子　森康子　　谷村美月　生瀬勝久　
白石糸　小野恵令奈　朝倉あき　満島栄美　山崎満　染谷将太　など

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（敬称略）

タグ：満島栄美 井上真央 蓮沸美沙子 綾野剛 谷村美月 ダンカン 生瀬勝久 秋野暢子 染谷将太 白ゆき姫殺人事件 金子ノブアキ 奈々緒 おすすめ邦画 しぐれ谷 松竹

ROLLING/ローリング（2015年 マグネタイズ）

教え子よ　大志を抱け　そして　女も抱け



水戸のおしぼり会社で働く　貫一（三浦貴大）　は高校時代の教師で　10年前に学校内で盗撮事件を起こし　行方がわからなくなっていた　権藤（川瀬陽太）　と再会する。
権藤は　かつての教え子たちに捕まり　糾弾され　面目を失っていた。さらに東京から連れてきていたキャバクラ嬢の　みはり（柳英里紗）　は貫一と　互いに一目惚れしてしまい　奪われてしまう。



一方で　権藤が盗撮した動画に目を付けた　繁夫（松浦祐也）　田浦（磯部泰宏）　容子（森レイ子）　船越（橋野純平）　ら悪友たちは　権藤をそそのかし　CMなどで売れっ子になっている　朋美（井端珠里）　の動画を　所属芸能事務所に買い取るよう持ちかける。



しかし　処分したはずの　朋美の盗撮動画がネットに流れてしまう・・・
そこには　高校生の朋美と　同級生　ジュン（星野かよ）　の同性愛が映っていた・・・

一方　まとまった金を手に入れた権藤たちだが　芸能事務所との取引に立ち会っていた　弁護士　にそそのかされ　太陽光パネルへの投資へと　得た金をつぎ込んでいた。そして　それは実る事無く　消えていった・・・

出演女優がとても妖艶で　際立つ　エロティックコメディです。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（敬称略）

タグ：磯部泰宏 橋野純平 井端珠里 川瀬陽太 森レイ子 松浦祐也 柳英里紗 ローリング rolling 三浦貴大 マグネタイズ 水戸 邦画

海炭市叙景（2010年 スローラーナー）

その冬　海炭市では造船所の縮小が発表され　多くの労働者が解雇された・・・



「まだ若い廃墟」
井川帆波（谷村美月）　　井川颯太（竹原ピストル）
造船所の一部が閉鎖され　多くの労働者がリストラに遭った。颯太もその中の1人であり　職を失ってしまった。
大晦日の夜　妹の帆波と寂しく年越しそばを食べているうちに年が明けた。なけなしの小銭を集めて　初日の出を見に山へ登るが　帰りのロープウェイ代は1人分しかなく　
颯太は歩いて山を下りることに・・・



「ネコを抱いた婆さん」
工藤まこと（山中崇）　　トキ（中里アキ）
70歳になるトキは1人暮らし。地域開発のため　周辺の家は次々と転居し　トキの家だけが残っている。市役所の職員　まことはトキに立ち退きを説得するが聞き入れて貰えない。そんな時　トキの飼い猫である　グレが姿を消してしまった。

「黒い森」
比嘉春代（南果歩）　　比嘉隆三（小林薫）
プラネタリウムで働く49歳の隆三。仕事から帰ると妻の春代は　派手な洋服に厚化粧。夕飯の準備もせずに夜の仕事へと出掛けていく・・・口を利かなくなった息子にも苛立ちを感じている隆三は　ある日　春代に仕事を辞めさせようと店へと向かう・・・



「裂けた爪」
目黒晴夫（加瀬亮）　　目黒勝子（東野智美）
代々続くガス店を継いだ晴夫。新しく始めた浄水器販売の事業が上手くいかず　家庭では再婚した元同級生の勝子が　息子を虐待している。
ある日　誤ってガスボンベを足の上に落としてしまい　膿んだ足を引きずり帰った夜　息子の顔にはまた　殴られたアザが・・・

「裸足」
荻谷達一郎（西堀滋樹）　　萩谷博（三浦誠己）
路面電車の運転手を務める達一郎は　偶然電車の前を通り過ぎる息子の博を見かけた。東京で働いていて　仕事のために地元へ帰っていた博だが　達一郎とは会おうとしなかった。年が明けた昼下がり　墓参りで鉢合わせた二人は　帰りのバスに揺られながら数年ぶりの短い会話を交わす・・・

様々な事情を抱えた　様々な人たちが　すれ違いながらも　懸命に生きている・・・

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（敬称略）

タグ：竹原ピストル 谷村美月 スローラーナー 海炭市叙景 山中崇 中里アキ 南果歩 小林薫 加瀬亮 東野智美 西堀滋樹 三浦誠己 邦画

怒り（2016年 東宝）

妻夫木聡　　綾野剛　　　渡辺謙　　　広瀬すず　　　宮崎あおい　　森山未來
高畑充希　　三浦貴文　　池脇千鶴　　ピエール瀧　　原日出子　　　松山ケンイチ
満島ひかり　岡田将生　　柄本明　　　深津絵里　　　樹木希林　など

ある夏の日　東京八王子で残忍な　夫婦殺害事件が起こる・・・現場の壁には「怒」の文字が残される。犯人は整形しながら逃亡し　一年が経過する。



千葉の漁港。東京の風俗店で働いていた　愛子（宮崎あおい）　は　父親（渡辺謙）　に連れ戻される。そして素性の知れないまま漁港で働く　田代（松山ケンイチ）　に魅かれ　一緒に暮らし始める。

優良企業に勤める　優馬（妻夫木聡）　は新宿のサウナで出会った　直人（綾野剛）　と意気投合し　同棲を始める。

友人と出掛けた　沖縄の無人島で高校生の　泉（広瀬すず）　はバックパッカーの　田中（森山未來）　と出会う。



三つの物語は決して交差せず　しかし　TVで報道される八王子事件の犯人像は　田代　直人　田中　に似ている・・・
それぞれのエピソードは　一話として成立するほどクオリティが高く　演じる俳優も前記の通り　人間に内面を　深く表現している。

冒頭の　目を背けたくなるような惨殺現場　千葉の大気感　東京の異様な喧騒　沖縄の乾いた灼熱・・・劇場のスクリーンを通して　肌で感じられる作品です。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（敬称略）

タグ：東宝 邦画 怒り 妻夫木聡 宮崎あおい 渡辺謙 広瀬すず 森山未來 綾野剛 松山ケンイチ 三浦貴文 高畑充希 ピエール瀧

予告犯（2015年 東宝）

明日の予告を教えてやる・・・



突然ネット上に現れた「シンブンシ」　彼はTシャツ姿で　顔には新聞紙を被っている。法では裁かれずに　見過ごされしまうような罪を犯した者たちを暴露し　彼なりの制裁を加えていく。
集団食中毒を起こしながらも反省が見えず　会見では逆キレしてしまう食品会社には火を放つ・・・
レイプ被害者に対する容赦ないコメントを残す男子大学生には　被害者女性同様の辱めを与える・・・
一生懸命に生きているが不器用なために　上手くいかない32歳の男性が応募した会社で　彼を小バカにするようなコメントを残した面接官には　痛みを加える・・・

犯行の度に事前予告をネットで流す「シンブンシ」・・・彼を戒める正義を振りかざしネットの自由な書き込みや配信を制限する法案を　自身の人気取りのために画策す
る政治家には　彼のヤラセを暴き　政界から抹殺する・・・



「シンブンシ」は単独ではなく　この特異な犯行を繰り返す　奥田宏明/ゲイツ（生田斗真）　葛西智彦/カンサイ（鈴木亮平）　木村浩一/ノビタ（濱田岳）　寺原慎一/メタボ（荒川良々）　には駆り立てられた　譲れない　理由があった・・・



警視庁サイバー犯罪対策課の　吉野絵里香（戸田恵梨香）　を嘲笑うように彼らのトリックと犯罪は繰り返されていく・・・そして「シンブンシ」は社会問題へと発展する。

他に　宅間孝行　坂口健太郎　窪田正孝　小松菜奈　田中圭　滝藤賢一　本田博太郎　小日向文世　など

世間のせいにする訳ではありませんが　上手くいかない人生もあります。人としては皆平等ですが　生まれ育つ環境は平等ではありません。真面目に一生懸命に生きようとするものの　理解されないこともあれば　虐げられることもあります。
犯罪は許されることではありません。
しかし　法に触れることだけが犯罪でもありません。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（敬称略）

タグ：シンブンシ 本田博太郎 生田斗真 濱田岳 邦画 小日向文世 明日の予告を教えてやる 予告犯 おすすめ邦画 東宝 鈴木亮平 荒川良々 戸田恵梨香 坂口健太郎 田中圭 窪田正孝 滝藤賢一

マイ・バック・ページ（2011年 アスミック・エース）

若者が世界を変えられると信じていた時代・・・
若きジャーナリストと　革命家。二人の出会いが引き起こした衝撃の事件。



沢田雅巳/週刊東都・東都ジャーナル記者（妻夫木聡）
梅山/本名：片桐優/赤邦軍リーダー（松山ケンイチ）

倉田眞子/週刊東都モデル（忽那汐里）
安宅重子/赤邦軍メンバー（石橋杏奈）
赤井七恵/赤邦軍メンバー（韓英恵）
柴山洋/赤邦軍メンバー（中村蒼）

他に　あがた森魚　山崎一　山本剛史　山本浩司　古館寛治　中野英樹　山内圭哉　長塚圭史　青木崇高　菅原大吉　中村育二　三浦友和



1969年　沢田は東大学生時代に安田講堂陥落までを目撃する。
現在は「週刊東都」の記者として　左翼運動への取材の中で　活動家たちに共感を抱きながらも　客観性を保たなければならない立場に葛藤する日々であった。

1970年 教室では　片桐という青年が他の学生たちと激しい議論を交わしている。

1971年　活動家を名乗る　梅山が沢田に接触してくる。「京西安保」の幹部であり　銃を強奪して4月に行動を起こす・・・と梅山は語る。



やがて　梅山は学生仲間を引き込んで「赤邦軍」を結成。自衛隊機地を襲撃し　武器を奪う計画を立てる。沢田は独占取材を頼み込む。

計画は実行されたが　武器は奪えず　罪のない自衛官1人を殺害してしまう・・・

逃亡する梅山・・・梅山との接触を語らず　同胞とみなされてしまう沢田・・・


全ての活動家がそうではないのだろうが　大学生を中心としたこの時代の若者たち・・・決して正しい方法ばかりではなく　無関係の者が巻き込まれることも多々あったと知り　それは絶対に許されないことである。

国を　世界を　自らが変えるという思想と　己を信じての行動力には　見習うべき点もあり　そのパワーは羨ましくも感じる。

暴力　クーデター　ましてやデモクラシー　では人の心を掴んだように見えても掴んでいないのかもしれない。

私が生まれた年代ということもあるのか　この時代の作品を観るたびに　胸が熱く　そして痛くなる・・・
何が正しくて　何が誤っているのか・・・　答えは人により様々である。自己の信念を押し付けたり　巻き込んだりではなく　認めてももらい　底から支えてもらえるような考えや行動・・・　自己も変わらなければならないときがある。

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日本のいちばん長い日（2015年 松竹/アスミック・エース）

1945年8月15日・・・終戦
玉音放送で昭和天皇の言葉が流されるまでに起こっていた出来事。歴史の舞台を描いています。



1945年7月　太平洋戦争での戦況が悪化する日本に対して　連合国軍は　ポツダム宣言　の受諾と全面降伏を迫っていた。
降伏か本土決戦かを巡り　連日の閣僚会議で議論が重ねられていたが　結論は出ないまま8月に・・・

そして　広島に　長崎に　原爆が投下され甚大な被害を受けてしまう。
しかし　未だ結論は出ず　ポツダム宣言受諾派と全国民で戦う一億玉砕派で意見が対立する。



鈴木貫太郎首相（山崎努）　阿南惟幾陸軍大臣（役所広司）　らは決断できず　昭和天皇（本木雅弘）　に決断を委ねる・・・
国民の身と日本国の未来を案じていた昭和天皇は　苦悩の末に全面降伏とポツダム宣言を受け入れる決断をする。

しかし　全面降伏に反対する　畑中健二少佐（松坂桃李）　ら若手将校たちがクーデターを画策。皇居やラジオ局占拠に向けて動き出す・・・

そして　「・・・耐え難きを耐え　忍び難きを忍び・・・」　と玉音放送を通じて　昭和天皇の声が国民に伝えられる。
その時　鈴木首相は・・・阿南陸軍大臣は・・・



当時の　天皇陛下　首相　を取り巻く　陸軍と海軍の諍いや　思想が強烈に表現されています。誰もが日本を信じ　形や方法は違えど　身をていして国のためにという時代の中で生き抜いた男気が　溢れています。

他に　堤真一　蓮佛美沙子　キムラ緑子

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タグ：松竹 昭和天皇 原爆 終戦 太平洋戦争 ポツダム宣言 堤真一 松坂桃李 本木雅弘 山崎努 役所広司 アスミック・エース 日本のいちばん長い日

人間失格（2010年 角川映画）

小説家　太宰治　の代表作であり　最後の作品。
太宰はこの作品を脱稿した一ヵ月後に　山崎富栄と　玉川上水で入水自殺した。



津軽では有名な資産家で　貴族議員の家に生まれた　大庭葉蔵（生田斗真/少年時代：岡山智樹）　は周囲との関係を築くため　本来の自分を隠し　滑稽さを演出して笑いを取る　道化を演じる幼少期だった。
しかしある時　クラスメイトの　竹一（柄本佑）　にそれを見抜かれてしまう。竹一は葉蔵のことを　将来女にモテて　凄い絵描きになると予言する。

高等学校進学のために上京した葉蔵は　画塾で知り合った6歳上の　堀木正雄（伊勢谷友介）　と親しくなる。遊び人の堀木は　酒　煙草　女　を葉蔵に教え　葉蔵は溺れていく・・・
竹一の予言通り　下宿先の娘　礼子（坂井真紀）　や　カフェの女給　常子（寺島しのぶ）　など女に不自由することはなかった。
そして　常子に同じ感覚である寂しさを抱いた葉蔵は　鎌倉の海で心中を図るが　自分だけが生き残ってしまう・・・



さらに歪んだ寂しさを募らせた葉蔵は　偶然出会った　中原中也（森田剛）　に誘われ再び鎌倉へ向かう。そこで知り合った子持ちの記者　武田静子（小池栄子）　と彼女のアパートで暮らすようになる・・・が静子と子供の幸せを壊してしまうことを恐れた葉蔵はアパートを出て　通っていたバーの２階で寝泊りするようになる。

その後　向かいのタバコ屋で娘の　良子（石原さとみ）　と知り合い　純粋無垢さに惹かれて結婚。葉蔵は次第に人間らしさを取り戻していくが　人を疑うことを知らない良子は　出入りの商人に犯されてしまう。



あまりの絶望に　葉蔵は　酒　睡眠薬　そして　モルヒネ中毒へと陥ってしまい　ツケが払えなくなった薬局の奥さん　寿（室井滋）　とも関係を持ってしまう。

自分の罪の重さに耐え切れなくなった葉蔵は　勘当されていた実家に金を無心する。そして引受人の　平目（石橋蓮司）　と　堀木に連れられ　脳病院へ入院させられる。
狂人というレッテルを貼られた葉蔵は　自分は「人間失格」だと確信する。

数ヶ月の入院生活後　故郷に引き取られた葉蔵は　廃人同然となり　老女　鉄（三田佳子）　と関係を持ち　ただ時間が過ぎていくだけが　今まで阿鼻叫喚で生きてきた所謂「人間」の世界に於いて　たった一つの真理らしく思われたのだと語る・・・

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アントキノイノチ（2011年 松竹）

それでも　遺されたのは　未来



高校時代　山岳部同級生との人間関係に深く傷つき　トラウマから心が壊れてしまった　永島杏平（岡田将生）　は躁鬱病に悩まされていた。
長い治療を経てようやく状態が安定した杏平は　父が見守る中　古田厚志（鶴見辰吾）　が経営する　遺品整理会社「クーパーズ」で働き始め　リーダーの　佐相博（原田泰造）　先輩の　久保田ゆき（榮倉奈々）　から仕事を教わる。



様々な過去や現在　生い立ちや環境から作られた　「命」　と向き合う現場を経験し　少しずつではあるが　杏平は成長していく。
が　高校時代のトラウマは重く　不安の中で平静を装っていた当時　親友が学校内の人気者である　松井新太郎（松坂桃李）　からネットいじめに遭った末　杏平の目前で自殺。それ以降松井の悪意は杏平に向けられ　杏平の中にも松井への憎しみが・・・やがてそれは殺意に変わっていった。

ゆきもまた　凄惨な過去を抱えて苦しんでいた。高校時代に同級生からレイプされ　更に妊娠が判明。自らの葛藤を分かっていたかのように子供は流産してしまう・・・望んではいなかった子供とはいえ　一つの命を失くしたことで　ゆきは自分自身を責め続けてきた。



お互いの苦悩を少しずつ打ち明けながら　魅かれていく杏平とゆき。しかし母親が自分の幼い姉妹を餓死させた家での遺品整理中に　ゆきは言いようのないショックを受け　クーパーズから消えてしまう。

数ヵ月後　杏平が見つけたゆきは　介護施設で働いていた。入所者との野外活動中　小さな子供が道路へ出てしまい　気付かずに走ってきた自動車に轢かれそうになり　ゆきは駆け出す・・・

人はみな平等・・・ではありません。生まれる家も父も母も選べません・・・反対に父も母も子供は選べません。家庭環境や収入も様々ですし　時を経てそれは　良いようにも悪いようにも変化します。

努力や周囲の手助けで補えることもありますが　最後は自分です。
生きるのであれば　「強く」　と感じました。

他に　染谷将太　津田寛治　堀部圭亮　壇れい　柄本明　斎藤洋介

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タグ：おすすめ アントキノイノチ 松竹 邦画 岡田将生 鶴見辰吾 原田泰造 榮倉奈々 松坂桃李 染谷将太 津田寛治 堀部圭亮 壇れい 柄本明 斎藤洋介 おすすめ映画 おすすめ邦画

ラッシュライフ（2009年 東京芸術大学）

作家・伊坂幸太郎　の原作を　東京芸術大学映像研究科が映画化した異色作品。
四人の監督から成る　一本の映画・・・邦画ではめずらしいグランドホテル形式。



美学を貫く孤高の泥棒　黒沢（堺雅人）　は物色していた部屋の中で突然戻ってきた住人と鉢合わせしてしまう・・・

父親が自殺して以来　神に救いを求め　宗教にハマる青年　河原崎（柄本佑）　は突然教団の幹部　塚本（竹嶋康成）　から運転を頼まれる。到着したマンションには憧れ
の教祖　高橋（塩谷瞬）　の死体が・・・



元サッカー選手の不倫相手　青山（深水元基）　と邪悪な計画を練るカウンセラー　京子（寺島しのぶ）。互いの伴侶を殺害する決意をし　行動に出るものの思わぬ事故を起こしてしまう・・・

リストラされたサラリーマン　豊田（板尾創路）　は再就職も決まらずに彷徨っていたところ　コインロッカーの鍵を咥えた犬と遭遇する。何気なく鍵を取り　開けたロッカーの中には拳銃が・・・豊田は自分をリストラした男への復讐を決意する。



この登場人物が　それぞれにクローズアップされながら展開していく。
その中のどこかしらで他の誰かと繋がり　交錯するとき　一生涯で一度きりの　特別な日　が訪れる・・・

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タグ：板尾創路 寺島しのぶ 柄本佑 竹嶋康成 塩谷瞬 深水元基 堺雅人 東京芸術大学 伊坂幸太郎 邦画 ラッシュライフ

欲動（2014年 太秦）

生と死の狭間に立たされた時　女は欲動に駆られた・・・



心臓に重い病気を抱えた　勢津千紘（斎藤工）　は妻の　ユリ（三津谷葉子）　と共にバリに住む　千紘の妹　九美（杉野希妃）　と夫の　ルーク（トム・メス）　宅を訪れる。
臨月の九美は自宅主出産を希望し　兄と看護士のユリが　立ち会ってくれることを心強く思っていた。



4人で立ち寄ったカフェで発せられた　千紘の何気ない一言　「日本に帰りたくない」　をきっかけに　ユリと千紘は口論になり　ユリはその場を去ってしまう。
やり切れなさと疲れで座り込むユリ・・・通りがかったカフェの店員に誘われるまま　ナイトクラブへ・・・
最初は戸惑いと圧倒感に気後れするものの　次第に開放感を感じ始め　明るさを取り戻していく。そんなユリに地元ビーチのジゴロ　ワヤン（コーネリオ・サニー）　が熱い視線を送り　強引に唇を奪う・・・



必死の抵抗で逃げ帰ったユリだが・・・千紘の病や　彼とのわだかまり　を感じながら　心の中で突き動く欲動を感じていた・・・
そして翌日　再びワヤンとであったユリは彼を受け入れてしまう・・・

そして　千紘が出した　死への答えは・・・

バリという大自然と生命力の中　死を身近に迎えている男と　受け入れようとしながらも　どう相対していいのか葛藤し　苦悩する女の姿を描いています。
淡々として言葉少ない中　表情と体当たりの演技で人間の欲が動いていくさまを　表現しています。

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モンタージュ三億円事件奇譚（2016年 フジテレビ）

スケールが大きく　壮大すぎるドラマです。25日・26日と二夜連続放送でしたので録画していましたが　前編を観たあと　あまりの面白さにそのまま後編へと・・・
4時間通して観ることになりました。



20世紀最大の未解決事件　「三億円事件」　僅か3分で誰も傷つけずに奪われた現金。
延べ17万人も動員した捜査も実らず・・・時効となった。

2009年　長崎　高校生で幼馴染の　鳴海大和（福士蒼太）　と　小田切未来（芳根京子）　は瀕死の老人　東海林明（香川照之）　を見つける。そして死ぬ間際の東海林から「お前の父親は　三億円事件の犯人だ　誰も信用するな」と告げられる。
その日の夜から　大和の父　鳴海鉄也（唐沢寿明）　は行方不明となり　遠く離れた東京で水死体となって発見される。
母親を早くに亡くしていた大和は　鉄也を慕っていた未来の父　小田切武雄（デビット伊東）　の世話になることに・・・



時は過ぎ　25歳の大和はフリーターとして無為な日々を過ごしていた。ある時剣道の師範だった父の　垂ネーム　から血痕が付着した500円札を見つける。それは三億円事件で奪われた中で　唯一ナンバーが分かっている紙幣だった。
数日後　武雄と　未来の母　葉子（西尾まり）　が行方不明となり　大和と未来は　武雄の道場へ通う予備校教師の　鈴木泰成（劇団ひとり）　にも協力して貰い　必死に探し始める。そして　過去の繁栄とは裏腹に無人化してしまった孤島　「軍艦島」　へ辿りつく・・・

そこで手にした三億円事件の紙幣・・・
ここから　1968年の鉄夫と　繋がる仲間たち　当時の鉄夫は　川崎雄大（野村周平）　と名乗り軍艦島から東京へ出るものの仕事に就けず　ふとしたきっかけで出会った仲間たちと行動を共にし　井上和子（門脇麦）　と出会い　愛し合う。その頃　同じく軍艦島から出てきて警察官になっていた　沢田慎之介（西田敏行/三浦貴大）　とも出会い　彼の思想に傾倒し　事件へと引き込まれていく・・・



父の軌跡を辿る大和・・・1968年当時の出来事と想いは2016年まで深く重く繋がり　大和や鉄夫の命を狙う　関口二郎（遠藤憲一）　もまた　哀しい過去を背負っている。

誰が味方で　誰が敵なのか・・・真実はどこにあるのか・・・
そして過去と現在・・・人と人とが繋がる　驚きの結末へ・・・

他に　ムロツヨシ　夏木マリ　ホラン千秋　杉咲花　時朗　谷謙人　瀬戸利樹　などなど　とてもドラマとは思えないキャスティング。そして素晴らしく見事なまでの脚本。それを深く・・・重く・・・シリアスに　時には優しく演じる俳優・・・

ドラマではなく映画です。前後編で劇場公開して欲しく　大スクリーンで感じたい作品です。

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ラストラブ（2007年 松竹）

ニューヨークのジャズシーンで　サックスプレイヤーとして活躍する　阿川明（田村正和）　はバースディライブ当日　花束を持って舞台へ上がろうとした妻　阿川友美（高島礼子）　を亡くす・・・

妻の死をきっかけに　ジャズのある生活を捨て　同級生である　朝倉大吾（片岡鶴太郎）　の旅行会社へ勤め　娘と静かに暮らしている。

ある朝　清掃局の職員　上原結（伊東美咲）　から　ゴミの出し方を厳しく注意されてしまい腹立たしい朝を迎えるが　急遽出張となったニューヨーク行きの機内で　結と偶然再会する。
更にニューヨークでも再会することになり　戸惑いながらも言葉を交わすうち　結は明に魅かれはじめ　明もまた・・・



帰国後は娘の佐和も　結を慕うようになり　妻を亡くした明と　婚約を破棄された結は　年齢の幅を超えて　お互いを意識し始める。

が　そんな時　体調を崩した明が医者から告げられた酷な宣告・・・亡くした妻と同じ病名で　余命3ヶ月・・・
明は病を隠して　サックスプレイヤーとしての再起に賭ける。結は余命を知りながらも　明の思いを受け止め　佐和の世話を願い出る。　が　佐和もまた明と結の思いに気付き　結を明の元へ向かわせようとする。



独特の個性を持つ　田村正和。どの作品を観ても　田村正和は田村正和であり　それが作品として成立する数少ない俳優だと思います。
共演したプロのジャズプレイヤーを唸らせたといわれる　サックスの音色も見事です。

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６４－ロクヨン－ 後編（2016年 東宝）

前編では　熱い警視庁記者クラブの記者役　瑛太　の感情露な演技に入り込み　あまりの　嫌な奴振りに小声で文句を言うほど入り込む観客がいたほど。



後編は　幼い娘を誘拐殺害され　数年後　妻にも先立たれた雨宮役　永瀬正敏　の気力をなくした中にも　執念と憎悪の念が溢れている情緒不安定さ　そして　14年前に自身が起こした誘拐殺人事件と同じ目に遭い　恐怖と狂気に支配される　目崎役の　緒形直人・・・　この二人の表現力に背筋が凍ります。

他にも事件の鍵を握る役どころの　三浦友和　吉岡秀隆　らの重厚な演技にも引き付けられます。



前編は　迷宮入り直前の誘拐殺人事件を模倣するような誘拐事件が発生したところで終え　後編では　模倣事件と14年前の事件が繋がり　雨宮の執念と復讐心が描かれます。
そこに　記者クラブと広報官の凌ぎ合いや　県警と警視庁の確執・思惑　などが絡み合います。



出演している俳優の顔触れが豪華で　日本を代表するキャストがこれほど顔を揃える作品もそうはないでしょう。

前後編共に劇場でと思い　息をのむ時間と　表現力の素晴らしさを体感しました。

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タグ：瑛太 吉岡秀隆 仲村トオル 永瀬正敏 三浦友和 佐藤浩市 東宝 64 ロクヨン 窪田正孝 緒形直人 綾野剛 榮倉奈々 滝藤賢一 夏川結衣 小澤征悦 奥田瑛二 模倣 誘拐殺人 邦画

失楽園（1997年 東映）

男と女はここまで愛し合えるのか。

当時社会現象にまでなり　揶揄される形で　「失楽園」　という言葉が世の中で溢れていました。あれほどの話題作なのですが観ていなかったので手に取りました。



出版社の敏腕編集者だった　久木祥一郎（役所広司）　は突然飛ばされ　調査室という閑職に追いやられてしまう。無気力な生活を送っていた久木はある日　友人　衣川和記（寺尾聰）　が勤めるカルチャーセンターで書道講師の　松原凛子（黒木瞳）　と出会う。
清楚で　淑やかで　美しい　凛子と久木は惹かれ合い　逢瀬を重ねる・・・が　久木には妻　文枝（星野知子）　と娘　知佳（木村佳乃）　がいて　凛子にも医師である夫　
松原晴彦(柴俊夫)　がいた。



しかし　二人は逢瀬を重ね　凛子はいつしか性の歓びを感じ　深みにはまっていく・・・
そして　都内にマンションを借りるなど　エスカレートする二人の行動は　それぞれの家族に気付かれ　世間並みの日常が失われていく・・・が二人の愛と性は際限なく膨れ上がっていく・・・

久木は会社に届いた自身の告発文書をきっかけに退職を決意し　文枝からの申し出に応じて離婚する。　凛子は母親や　離婚に応じない晴彦との縁を切って　久木のもとへ向かう・・・
「至高の愛の瞬間のまま死ねたら」という凛子の願いに共感した久木は　二人でこの世を去る決意を固める。
雪深い温泉宿で　まさに　生命を絡めるように求めあった久木と凛子は　互いに毒の入ったワインを口にした・・・

後日発見された心中死体は　繋がったままであった・・・



他に　平泉成　速水典子　仲村敦夫　原千晶　あがた森魚　石丸謙二郎　村上淳

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タグ：平泉成 木村佳乃 星野知子 黒木瞳 東映 失楽園 おすすめ 邦画 役所広司 寺尾聰

６４－ロクヨン－ 前編（2016年 東宝）

わずか7日間で幕を閉じた昭和64年・・・
その間に起きた　昭和最後の大事件　少女誘拐殺人事件・・・通称64（ロクヨン）



未解決のまま14年　時効まで後1年となったこの事件の裏に隠されている　「警察VS報道」「警察ぐるみの隠蔽・確執」などと　組織に属する個々の葛藤や　やり切れない被害者の14年間積み重なった感情・・・などに　素晴らしい俳優陣が真っ向からぶつかっています。



私が昭和生まれということもあって　また　青春時代真っ盛りという64年の時代背景にも感情移入して　慟哭しそうになるのを抑えながら劇場で見ました。

劇場公開中ですので　詳細は記しませんが　主人公・三上義信を演じる　佐藤浩市　が　綾野剛　榮倉奈々　金井勇太　瑛太　坂口健太郎　らに向かって「全力でぶつかって来い。俺が全部受け止めてやる。」と宣戦布告のように言葉を投げかけ　それに応えようとする　瑛太　を中心とした記者役の面々とのぶつかり合いは　感情移入が過ぎた　一部の観覧客がスクリーンに向かって怒り出すほどの表現力でした。



警察上層部の面々　椎名桔平　滝藤賢一　奥田瑛二　仲村トオル　三浦友和　らの表の顔と裏の顔を醸し出す絶妙な演技・・・
幼い娘が誘拐され　我を失いながら　犯人の要求通りに駆けずり回る父親役の　永瀬正敏　・・・　身代金は奪われ娘は殺害され　数年後には妻も亡くし　事件を抱えながら年を重ねてきた14年後の佇まいや　事件発生直後の捜査で大きなミスを犯してしまいながらも　上司の判断でこれを隠したことを引きずり苦しんでいる元科捜研　吉岡秀隆　窪田正孝　の当時から現在へと続く心情表現も見事です。



前編では　昭和64年の事件発生から　時効まで残り1年となった14年後に　模倣とも思われる新たな事件が発生するまでを描き　その過程で渦巻く　しがらみや葛藤　隠蔽・確執や策略　登場人物個々が抱える内面　など　時代背景のリアルさと併せて震えるほどの描写で表現されています。

前編・後編共に劇場での観覧がおすすめです。
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さよなら歌舞伎町（2015年 東京テアトル）

ラブホテルで交錯する男たち　女たち
身も心も触れ合うとき　きっと何かが見えてくる・・・

不器用で　愛おしい人々へ



新宿歌舞伎町のラブホテル・・・AVの撮影でワンフロアを貸切にしたところ　自分の妹　美優（樋井明日香）　が女優であることを知ってしまう　一流ホテル勤務と嘘をついていた店長　高橋徹（染谷将太）　と同棲しているその彼女でミュージシャン志望の　飯島沙耶（前田敦子）。

犯した強盗の時効を目前にしているカップル　鈴木里美（南果歩）　はラブホで働きながら　共犯の恋人　池沢康夫（松重豊）　を匿っている。

彼氏に内緒でデリヘル嬢をしている　イ・ヘナ（イ・ウンウ）　と同棲中の彼氏　アン・チョイス（ロイ）　は共に店を持つという夢に向かっているが　ヘナの稼ぎにチョイスは疑念を持っている。

他に　不倫中のエリート刑事カップル役に　宮崎吐夢　と　河井青葉。家出少女を引っ掛けるも身の上話に同情してしまう風俗スカウトに　忍成修吾。恵まれない家庭環境から家出中の少女役に　我妻三輪子。沙耶に枕営業を持ちかける音楽プロデューサー役に　大森南朋。



人生に迷う　愛が見つからない　大人たちの群像劇・・・　

ラブホテルの一日と　そこを利用する事情を持つ人々　そしてそこで働く人たち・・・年齢も職業も異なる男女の事情が　夜の深まりと共に　狂騒劇を経て交錯し・・・　
朝を迎える・・・



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初恋（2006年 ギャガ）

1968年に起こった　日本犯罪史上最大のミステリー「府中三億円強奪事件」　を題材にした物語。



高校生の　みすず（宮﨑あおい）　は　兄である　リョウ（宮﨑将）　を連れて出て行った母親と離れ　叔母に引き取られていたが　そこに自分の居場所はなく　友達も作らず　ひたすら本を読んでいた。
ある日　突然現れたリョウから手渡されたマッチ・・・そこに書かれていた　新宿ジャズ喫茶Bを訪れる。

ジャズが響き　煙草の煙が立ち込める退廃的なフロアの奥に　リョウと仲間たちがいた。ユカ（小嶺麗奈）　タケシ（柄本佑）　テツ（青木崇高）　ヤス（松浦祐也）　そして1人異なる雰囲気を持つ　岸（小出恵介）。
リョウは多数の女性と関係を持ってはヒモとなり　ユカは劇団で女優として活動して
いたが　実家やリョウとの関係に悩んでいた。テツとヤスは恐喝などで金を脅し取り　
ドラッグに明け暮れていた。タケシは小説家を目指し　大学生の岸は仲間内では冷め
た態度から「つまらない男」だと扱われていた。

この日から　みすずは　学校よりも　家よりも　Bで過ごす時間が長くなる。生まれて初めて経験する仲間という感覚。そして岸に抱く感情・・・



そんな中　Bの仲間たちは新宿でのデモに巻き込まれ　警官に暴行を受け負傷する。権力に対する怒りを内に秘めていた岸は　暴力ではなく頭脳で戦いたく　みすずにとんでもない計画を持ちかけ　みすずは岸に必要とされる喜びからのめり込んでいく・・・

そして　1968年12月10日　白バイの警官に扮したみすずは　想定外のトラブルに遭いながらも三億円の強奪に成功する。誰も傷つけることなく強奪に成功した犯人は　時代背景も重なり　世間のヒーローとなった。
みすずは岸に「もうひとりは嫌だ」と気持ちを打ち明ける。が　岸は消息を絶つ。



事件後　みすずは　岸が会いに来てくれることを待ちつつ受験勉強に専念する。そして見事受験に合格する。岸から紹介されていたアパートで彼を待ちながら暮らすみすずは　ある日本の中から岸のメモを見つける。そこには初めて会った時からみすずに惹かれていた岸の言葉があった。

時が経ち　Bの仲間たちの多くは夭折し　岸も消息不明のまま　強奪された三億円の紙幣は一枚も使われずに時効を迎える・・・

この年代の物語には心が突き動かされます・・・

血気盛んな活動家や　運動に傾倒する学生たち・・・　決して正しい行動ではなく　物事が解決する方法ではありませんが　当時の若者たちのパワー・エネルギーに圧倒され　震え　突き動かされます。

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タグ：宮﨑あおい ギャガ 邦画 初恋 府中三億円強奪事件 宮﨑将 小嶺麗奈 柄本佑 青木崇高 松浦祐也 小出恵介 活動家 学生運動

笑う警官（2009年 東映）

追うも警官　追われるも警官。



全国の警察で相次ぐ不正が発覚する中　北海道警でも警察上層部を巻き込んだ　裏金工作疑惑が浮上。審議を問うために北海道議会は　「百条委員会」　を開催し　現職警察官の証言を聞くことになった。

百条委員会を2日後に控えたある日　札幌市内のアパートで　現職婦人警官　水村朝美（乙黒えり）　の変死体が発見された。すぐに元交際相手の巡査部長　津久井卓（宮迫博之）　に容疑が掛けられ　異例の射殺命令までも下される。この流れに違和感を覚えた　所轄の警部補　佐伯宏一（大森南朋）　は信頼できる仲間　小島百合（松雪泰子）　新宮昌樹（忍成修吾）　植村辰男（螢雪次朗）　らとともに秘密裏に捜査を始める。



津久井は　百条委員会に証人として出席する予定であり　射殺許可はそれを阻むための口封じとも取れる。期限はわずかに24時間　津久井を匿い続けるには長く　水村朝美殺しの真犯人を見つけるにはあまりにも短すぎる。しかも　仲間として集まったメンバーの中に内通者がいる様子も垣間見える・・・

過去の潜入捜査で　津久井と行動をともにし　深い信頼関係を培っている佐伯は　何としても津久井を守り　証言台に立たせようと秘密裏に動くが　元警察官でジャズバーのマスター　安田（大友康平）　や　警察上級官僚の　浅野貴彦（矢島健一）　石岡正純（鹿賀丈史）　らに翻弄される・・・



他に　松山ケンイチ　中川礼二　大和田伸也　野村佑人　伊賀明賢

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タグ：東映 邦画 笑う警官 百条委員会 北海道警 大森南朋 松雪泰子 忍成修吾 螢雪次朗 宮迫博之 大友康平 鹿賀丈史 矢島健一 中川礼二 野村佑人 伊賀明賢

紙の月（2014年 松竹）

バブルがはじけて間もない1994年が舞台。子供が出来ない意外は平均以上の　まっとうな人生を歩んでいた主婦が　大学生との出会いをきっかけに　歯車を狂わせ　矛盾と葛藤を抱えながら犯罪に染まっていく・・・



梅澤梨花(宮沢りえ)は　夫の正文(田辺誠一)　と穏やかな日々を送っている。契約社員として勤務する「わかば銀行」でも　仕事への取り組みや周囲への気配りが好意的に評価され　上司の井上(近藤芳正)からも信頼を得ている。
勤務先では　厳格なベテラン事務員の　隅より子(小林聡美)や　今時の若者で窓口係の　相川恵子(大島優子)ら　が働いている。
一見　何不自由のない生活を送っている梨花だが　自分への関心が薄く鈍感なところのある夫との間には空虚感を感じていた。



ある夜　梨花の顧客で裕福な独居老人　平林(石橋蓮司)　宅で一度顔を合わせたことのある孫　平林光太(池松壮亮)　と再会した梨花は　何かに導かれるように彼と時間を共にし　逢瀬を重ねるようになる。そんな中　ふと立ち寄ったショッピングセンターの化粧品売り場で　支払いの現金が足りないことに気づいた梨花が手を付けたのは　顧客から預かっていた１万円だった。
銀行に戻る前に自分の口座から引き出して戻したが・・・これが全ての始まりであった。学費のために借金をしているという光太には200万を渡し　さらに顧客から預かった300万を自分の通帳に入れ　自宅で定期預金証書や支店印を偽造する……。



やがて横領はエスカレートし　光太との豪遊などへと流れていく。上海に赴任するという夫には同行せず　梨花は光太と高級ホテルやマンションで贅沢な時間を過ごす・・・　が　光太の行動にも変化が表れ　ある日　光太が大学を辞めたことを告げられる。そんな時　隅が銀行内で不自然な書類の不備が続いていることに気付き　不審に感じ始めていた……

幸せながらも　何か空虚感を持つ主婦が　大学生との不倫に溺れ　勤務先である銀行顧客の金を横領する・・・決してめずらしくはない題材ながら　宮沢りえ　と　池松壮亮　の表現力。そして　近藤芳正　や　小林聡美　のキャラクターで思慮深い作品になっています。

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東京家族（2013年 松竹）

小津安二郎監督の「東京物語/1953年　松竹」を　山田洋次監督　でリメイク。
2011年に公開予定だったが　東日本大震災で延期となり　脚本の一部と配役を変更して　2013年に公開された。

「おかしくて　かなしい。これは　あなたの物語です。」



平山周吉　（橋爪功）　　72歳の元教員。広島県大崎上島町に住む。
平山とみこ（吉行和子）　 周吉の妻　68歳。
平山幸一　（西村雅彦）　長男　東京郊外で開業する小児科医。
平山文子　（夏川結衣）　幸一の妻。
金井滋子　（中嶋朋子）　長女　都内で美容院を経営する美容師。
金井庫造　（林家正蔵）　滋子の夫。
平山昌次　（妻夫木聡）　次男　都内で舞台美術のアシスタントとして働く。
間宮紀子　（蒼井優）　　昌次の恋人　書店員。



瀬戸内の小さな島で暮らす老夫婦　周吉　と　とみこ　は子供たちに会うために上京する。開業医の幸一や　美容院を経営する長女の滋子は　親孝行しようとするものの次第に忙しさからか　煩わしさを感じるようになり　心にしこりを残しながら両親をホテルに宿泊させたりする。

寂しさを覚えた夫婦は　一泊でホテルをキャンセルし　滋子の家に戻るが迷惑がられてしまい　周吉は健康のために　やめていた酒をあおり騒動を起こしてしまう。
アルバイトで生計を立てている次男　昌次　の家に泊まったとみこは　恋人の　紀子　を紹介される。


夫婦別々の夜を過ごし　両極端な機嫌の　周吉ととみこ。
幼いころからの親子関係と　成長した子供たちそれぞれの生活　人格が形成され1人の人間として独立していくにつれて　考えの違いや噛み合わない部分も浮き上がってくる・・・
いつも間にか出来てしまった　すき間　を感じながらも　それを埋めようとする姿・・・
家族の在り方や　親の想い　子の想い　を深く感じさせられる邦画です。



40代半ばを過ぎ　私自身の子供たちも成長し　親と子　から　男と男　に変わって行き　理解できる部分もあれば　出来ない部分も出てきました。大学生の長男は既に関西で1人暮らしですし　来春には高校生の次男も関東への進学を希望しています。
二人だけの生活になることに対する捉え方も　夫婦二人で異なります。子供は二人とも男ですので帰郷することも少ないでしょう。迷惑をかけずに夫婦二人で生きていかなければなりません。そんなことをしみじみと考えました。

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真昼ノ星空（2006年 ホリプロ/スローラーナー）

沖縄を舞台にした　孤独で　そして　儚い　恋物語です。



台湾の組織に属している殺し屋　リャンソン（ワン・リーホン）　は仕事を終えると暫くの間は身を隠す。
沖縄に潜伏している　リャンソン　は毎週土曜日にコインランドリーで出会う年上の女性　由起子（鈴木京香）　の儚くも美しい横顔が気になっている。



一人暮らしの由起子は　人と関わることを避け　仕出し弁当屋で働き　時には夜間の工事現場で交通整理の仕事に就いている。



スイミングスクールで受付として働く　サヤ（香椎由宇）　は毎日泳ぎに来る　しなやかで無口な　リャンソン　に興味を抱いている。



ある日　組織に連絡したリャンソンは　1週間後に帰国するように指示を受ける。そして　リャンソンはコインランドリーで由起子に声を掛け　食事に誘う・・・も断られる。

が　再びコインランドリーで出会った日　由起子はリャンソンの誘いを受ける。リャンソンの自宅で振舞われた彼の手料理はどれも素晴らしく　由起子の顔にも久しぶりの笑顔がこぼれる。
しかし　やはり　リャンソンの告白は受け入れられなかった・・・

組織の事情で急遽台湾へ帰国することになったリャンソンは　由起子への手紙をサヤに託す・・・がサヤが手紙を渡す事は無く　由起子に想いは伝わらない・・・

由起子が受け入れてくれれば　裏家業から足を洗う覚悟のリャンソン。心に深い傷を持ち　彼の気持ちに応えることが出来ない由起子。密かに想いを寄せながら嫉妬に駆られた行動を取ってしまうサヤ。
シンプルな恋愛ストーリーながら　3人の俳優が醸し出す　表情　立ち振る舞い　そして醸し出す雰囲気が　孤独で切なく　心に影を抱えるヒューマンドラマを作り上げています。

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女が眠る時（2016年 東映）

北野武 ＝ ビートたけし ×　西島秀俊

覗き見たのは「狂気」か「愛」か



処女小説がヒットし　二作目も出版したが　それ以降は書くことが出来ずに　無気力な作家　清水健二（西島秀俊）　は　妻で編集者の　綾（小山田サユリ）　とリゾートホテルを訪れる。健二は気分転換　綾は仕事を兼ねて一週間の滞在予定。



妻とも倦怠期を迎え　ぼんやりと過ごしていた初日　健二はプールサイドで異様な男女を目にする。初老の男は　佐原（ビートたけし）　若く美しい女は　美樹（忽那汐里）。

その時から健二は　美樹に目を奪われ　彼らを見かける度に後をつけ　とうとう部屋を覗き見るようになってしまう。
部屋の中では　毎晩美樹の産毛を　丁寧に剃刀で剃り　彼女が眠る姿を撮り続ける佐原の姿があった。



ある日　佐原と言葉を交わした健二は　美樹が眠る動画を見せられながら発した　彼の言葉　「あの子の最後の日を記録しようと思って・・・」　に　とてつもなく　そして底知れない恐怖を感じる。
が　好奇心を抑えられない健二の行動は次第にエスカレートし　佐原と美樹の部屋に忍び込んでしまう。

そして　佐原と美樹の　愛とも狂気ともつかない　関係が・・・

監督としてではなく　12年ぶりの主演となる　北野武 ＝ ビートたけし　と　西島秀俊　の作品。どうしても劇場で観たく　終了直前に駆け込みました。
独特の描写　観る側に想像の幅を与えて多種多様な感じ方が出来る・・・そんな作品です。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（敬称略）

タグ：女が眠る時 東映 ビートたけし 北野武 西島秀俊 小山田サユリ 忽那汐里 狂気 愛 覗き

ディア・ドクター（2009年 エンジンフィルム／アスミックエース）

その嘘は　罪ですか。



夏のある日　山間部にある小さな神和田村の診療所から　1人の医師　伊野治（笑福亭鶴瓶）　が失踪した。
数年来　伊野と共に村の医療を支えてきた　看護師　大竹朱美（余貴美子）　や　地域医療を学ぶ為に診療所で働いていた　研修医　相馬啓介（瑛太）　診療所に薬を届けていた薬品会社の　斎門正芳（香川照之）　は困惑する。

そしてベテラン刑事　岡安嘉文（岩松了）　波多野行成（松重豊）　が捜査を開始するが　大竹　相馬　をはじめ村民たちも・・・　伊野の生い立ちや素性を知るものはいなかった。



遡ること数ヶ月前　医師が1人もいない神和田村に　曽根登喜男（笹野高史）の誘い
でやってきた伊野は　村民の治療を一手に引き受けながら　話し相手や相談相手にも
なり　村民から慕われ　頼られていた。
研修医として赴任した相馬は　当初こそ僻地医療に戸惑うが　伊野の毎日に触れ　大学病院では味わえない充実感を覚えはじめる。



ある日　鳥飼かづ子（八千草薫）　という未亡人が倒れ　伊野は診察する。次第に心を開いていく　かづ子・・・彼女の病名は　癌。しかし　かづ子は　都会で医師として働く娘　りつ子（井川遙）　の手を煩わせたくないことから　「家族に嘘をついて欲しい」　と頼む。

その嘘を引き受けたことから　伊野自身が隠してきた　「ある嘘」　が浮かび上がっていくことになる。

人間味があり　深く　哀しい　笑福亭鶴瓶　の演技が素晴らしく　共演の　余貴美子　瑛太　香川照之　が何倍も味のある作品にひろげています。八千草薫　からは親の子に対する心情が伝わってきます。
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タグ：診療所 神和田村 松重豊 岩松了 笹野高史 井川遙 八千草薫 香川照之 瑛太 余貴美子 笑福亭鶴瓶 アスミックエース エンジンフィルム ディア・ドクター 邦画

わたしを離さないで（2016年 TBS）

臓器移植という　人命に関わるテーマを　非常に重たく　そして深く哀しく描いています。



一般社会から完全に隔離された森の中にある　陽光学苑。事情を持つ子供たちが協力し合って暮らす養護施設のように感じるが　子供たちは全員地味な灰色系の洋服・・・それも傷んだ洋服が多く　違和感を感じる。

良質な教育が与えられてはいるが　それはある目的のためであった・・・
子供たちは自らの意思と関係なく　「使命」　を背負っており　それから逃れることは出来ないことを知る。

「提供者」と「介護人」　そう　彼らは臓器提供を目的として作られた人間だった。
「提供」を指示されれば命が尽きるまで自らの臓器を提供する。指示が来るまでは「提供者」の「介護人」として共に暮らし育った仲間が切り刻まれる姿を目の当たりにする・・・

子供たちは　ある日突然　その事実を知らされる。夢も希望も失い　途方に暮れ　人を疑い　自暴自棄になり　もがき苦しみながらも　希望を見つけようとする・・・しかし現実はどうにも変わらない・・・



そんな環境に置かれた　保科恭子（綾瀬はるか）　酒井美和（水川あさみ）　土井友彦（三浦春馬）　という3人の生き様を中心に　怖くなるほど人間の内面を表現しているドラマです。

麻生佑未　甲本雅裕　真飛聖　らの真実を隠して外面を作っている演技は絶妙ですし　水川あさみ　は　綾瀬はるか　を凌いでしまうほどの存在感で　優柔不断でおとなしい印象ながらも　希望を持ち続けることに向かう　三浦春馬　とゾッとする表現力です。視聴率はよくありませんが　間違いなく見入ってしまう作品です。



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（敬称略）

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そこのみにて光り輝く（2014年 東京テアトル/函館シネマアイリス）

愛を捨てた男と　愛を諦めた女。函館の一瞬の夏を舞台に　二つの魂が邂逅する。



仲間の爆破事故死を引きずり　鉱山の仕事を辞め　気力も無くフラフラしている　佐藤達夫（綾野剛）　は　パチンコ店で気が荒くガサツながらも　どこか人懐っこい　大城拓児（菅田将暉）　と出会う。

拓児と家族が暮らす　バラックには寝たきりの父親　大城泰治（田村泰二郎）　と　世話をする母親　大城かずこ（伊佐山ひろ子）　そして家族の為に心と身体を売り　すり減らしている　大城千夏（池脇千鶴）　が住んでいた。

拓児は過去に事件を起こし仮釈放中　その拓児に仕事を世話している造園会社社長　中島（高橋和也）。彼には妻と子供がいるものの　千夏の弱みにつけこんで関係を持っている。



そんな千夏の事情を知りながらも魅かれていく達夫は　彼女のために拓児を連れて　砕石の仕事に戻る決意を固め　誘ってくれていた　松本（火野正平）　と話を詰めていくが・・・

そんな時　事件が起こってしまう・・・中島の所業に耐える千夏・・・それを察して中島に激しい憎悪を抱く拓児・・・



家族を想い　愛する人を想い　真っ直ぐに精一杯生きようとするが　思い通りにいかない・・・　せつない情景を　綾野剛と池脇千鶴が少ない台詞で表現していて　軽くて危なっかしくも　端々に家族愛をかすかに感じさせる　菅田将暉の雰囲気と交わっています。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（敬称略）

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