卒業（2003年 東宝）

卒業を２ヵ月後に控えた短大生　杉田麻美（内山理名）　は　ある雨の日　心理学講師の　真山悟（堤真一）　に傘を差し出した・・・　相合傘になり　初めて真山と会話をする麻美は　とても嬉しそうな笑顔を浮かべる。その日以降　積極的な麻美に戸惑ってしまう真山。



数日後　真山は麻美と一緒に入ったカフェで　借りていた傘を盗られそうになり　喧嘩になってしまう。そのとき真山が落とした物を見て麻美は　彼がいまだに別れた麻美の母を想い　まだ見ぬ娘への自責の念に縛られている事に気付く。　そう麻美は　２０年間会っていない真山の実娘であり　それを隠して近づいていたのだ・・・。

美術館・公園・水族館・・・　母の思い出の場所で　麻美は娘である事を隠して　今までの年月を取り戻すかのように真山と過ごす。
一方で真山には恋人　宮本泉（夏川結衣）　がいるが　泉は彼の心にあるのは自分ではなく　別れた元妻ではないかと確信し　彼のもとを去る事を決意する。過去にとらわれ　前に進めない真山の姿を見て　麻美は真山の心を少しでも開こうと懸命になる・・・。



「父娘」　「恋人」　という　ふたつの愛情を　切なくも丁寧に　そして綺麗に描いている作品です。優柔不断で　不器用で　決断力がなく　うだつのあがらない　でも一度決めたことは貫く　大学講師（解雇されますが・・・）を　堤真一　が・・・　２０年間会ったことがないにもかかわらず　大好きだった母が愛した男性を　父親として愛する娘を　映画初主演の　内山理名　が演じ　切なくも　優しくて愛情いっぱいの空気感を醸し出しています。
そして　真山の恋人役の　夏川結衣　この女優さんの表情　特に笑顔は本当に素晴らしい・・・。淡々とした口調の中で　しっかりと表情で情景を表現しています。



真山と麻美の出会いから　ラストの別れまで　雨　のシーンが効果的に多く使われています。情緒のある　雨　・・・　愛情をより感じます。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（敬称略）

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