起終点駅 ターミナル（2015年 東映）

「終着駅」はやがて「始発駅」になる。
誰の人生のなかにも終点と起点があり　終わりだと思っていた場所が始まりの場所になる・・・



北海道旭川地方裁判所判事　鷲田完治（佐藤浩市）　はかつての恋人　結城冴子（尾野真千子）　と法廷で再会。裁判官と覚せい剤取締役法違反の被告人という形だった。
東京に妻子を置いて単身赴任していた身でありながら　鷲田は冴子との関係をよみがえらせてしまう・・・
半年後　東京へ戻ることになった鷲田は　すべてを捨てて冴子と暮らす決意をした。
しかし彼女は鷲田の想いに応えることなく　自ら命を絶ってしまう・・・



それから25年　鷲田は誰ともかかわることなく釧路で国選弁護人としてひっそりと生きていた。家族を傷つけ　愛した女性を死に追いやった自分自身を裁くかのように。
そんな中　弁護を担当した女性　椎名敦子（本田翼）　とのかかわりにより　止まったまま　閉ざしたままの生活が　少しずつ変化し始める。
それは　敦子も同じだった・・・



人生の終着駅だと思っていた釧路の街は　始発駅へと変わっていき　それぞれの人生が新しく動き始めていく・・・

他に　中村獅童　和田正人　音尾琢真　泉谷しげる　など

司法では罰せられず　誰に裁かれることもない罪を抱え　人生の儚さや　人間の弱さ　汚さ　狭さ　様々な形の愛情　などの内面的な部分を　佐藤浩市が味わい深く表現しています。
また　自ら家族との決別を選びながらも　孤独に耐えられず　心のよりどころを誤り　鷲田との出会いから自立していく女性を　本田翼が・・・　学生時代の付き合いから鷲田を胸中に抱え　鷲田にもその存在を深く残していた女性を尾野真千子が・・・
隠し切れずにあふれだす感情を　人間の内側から滲ませて表現しています。

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人生の約束（2016年 東宝）

今まで　他人に興味などなかった・・・
自分が全て正しいと思っていた　・・・
果たせぬ「約束」があった　　　・・・



人を信じず　自分が全て　のような考えを持つ　IT関連企業のCEO　中原祐馬（竹野内豊）　の携帯に　ともに起業した親友・航平からの度重なる着信。
物別れした航平からの電話には一切応じなかった祐馬だが　胸騒ぎを覚えて故郷へ向かう・・・と航平の死　という予期せぬ出来事が待っていた。



航平の義兄　渡辺鉄也（江口洋介）　は航平を会社から追い出した挙句　着信を何度も無視し続けた祐馬を許せずに殴りかかってしまう。
その場が荒れるのを防いだのは　航平の娘で中学生の　瞳（高橋ひかる）　の冷静な対応だった。
かつての親友に対して出来ることはないかと尋ねる航平に　瞳は　曳山を取り戻してくれますか？　と問う。
この町　四十物町では　財政難から曳山を維持できず　新興の西町に曳山を譲渡するという　前代未聞の出来事が起こっていた。



事情を知り　手立てを考える航平だが　東京では会社の不正取引が表沙汰になり　強制捜査を受ける。そしてワンマン経営者であった祐馬はすべてを失ってしまう・・・
一人になってしまった祐馬だが　瞳との約束を守るために再び四十物町へ向かう・・・

松坂桃季　優香　小池栄子　室井滋　柄本明　美保純　立川志の輔　ビートたけし　　西田敏行　など　そうそうたる俳優が共演し　深みと厚みが幾重にも重なっています。

１月公開の邦画で　予告を見たころから劇場で観たかったのですが　時間と休日が合わず　ようやくDVDで観ることが出きました。
共に夢を追い起業した親友・・・成功するも　考えの違いから身を引いた航平。だが年月を経て航平が去った本当の理由が明らかになり　祐馬は自分が出来ることを真剣に考えるとともに　これまでの自身の考えや言動に疑問を持ち始める・・・
何歳になっても　どんな成功者になっても　成功することが出来なくても　過ちに気づき　人を認め　情を持てる人間になりたいと感じます。

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合格通知

本日　次男宛に合格通知が届きました。

幼少のころから空手を続けて　高校へは特待生で入学させていただきました。

その後も　文武両道を目指して　部活後の自主練や　学業　生活態度などなど　頑張ってきたことが報われたことになり　本当にうれしく感じます。

男の子でもあり　私自身やカミさんが　通ら（れ）なかった道を進んで欲しく　幼少のころから四年制大学までは卒業するようにと伝えてきました。

学業が好きでなければ　異なる方法で進む道もあるという話をし　空手で大学を目指していました。

結局　空手は高校までになり　大学へは学業に空手の実績が加味されての推薦入学となりました。

幼少のころから特別秀でた選手でもなく　全国的な活躍も叶いませんでしたが　空手・学業にかかわらず　地元の多くの先生方　仲間たち　そして母親に支えながらの結果です。

周りの皆さんに感謝し　次男の頑張りにも頭が下がります。

来春からは　東京六大学の一つに入学することになります。

都会で　初めての一人暮らしも始まります。

心配は尽きませんが　これまでかかわった多くの人たちに感謝し　健康で無事に卒業することを願っています。

タグ：感謝 東京 六大学 特待 推薦 空手

岸辺の旅（2015年 ショウゲート）

3年間　失踪していた夫が突然帰ってきた。
だが　夫は「俺　死んだよ」と妻に告げる。
そして　夫が過ごした時間を巡る　夫婦ふたりの旅がはじまった。



薮内優介（浅野忠信）　が失踪して３年・・・　妻の　瑞樹（深津絵里）　はピアノ教師を続けることで　かろうじて世間との接点を保っていた。

そんな時　突然　優介が戻ってくる。仕草も口調も失踪前と変わらないが　「俺　死んだよ」と告げられる・・・



混乱する瑞樹に　優介は　お世話になった人たちと　思い出の地を巡る旅に出ようと持ち掛け　瑞樹は言葉通りについてゆく・・・
優介が過去に働いていた新聞配達業　夫婦で経営する食堂　その店を手伝う中で　瑞樹は二階に残されたピアノを見つけ　少しずつこの旅の意味を悟っていく・・・



だが　優介と接触を持っていた女性　朋子（蒼井優）　が優介に宛てた手紙がもとで　二人は口論になり　瑞樹は一人で朋子に会いに行くが　彼女の毅然とした態度に打ちのめされる・・・そして最後まで彼の旅に付き合う決心を固める。

お互いへの深い愛情を　一緒にいたいという純粋な気持ちを感じあう二人だが　旅が終わり　瑞樹が優介を見送るときは刻一刻と迫っていた・・・

静かに　そして偽りのない夫婦愛を　浅野忠信と深津絵里が　静かな言葉で　深く　深く　表現しています。

他に　小松政夫　柄本明　奥貫薫　村岡希美　赤堀雅秋　首藤康之

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ピースオブケイク（2015年 ショウゲート）

ピースオブケイク（2015年　ショウゲート）

梅宮志乃（多部未華子）　は様々な問題を抱えながら　高圧的な恋人　正樹（柄本佑）　と流されるままに交際を続けていながら　社内の他の男性とも関係を持ってしまう。

しかし　浮気がバレたことをきっかけに　正樹の感情は更に狂い始め　志乃は仕事を辞め　正樹とも別れてしまう。



新しい環境で心機一転と引越しした矢先　志乃は性懲りもなく　隣の男性　菅原京志郎（綾野剛）　に一目惚れ。
そして友人でもある　オカマの天ちゃん（松坂桃季）　に紹介されたレンタルビデオ店に面接に行き　彼がそこの店長だと知る。
京志郎には同棲中の彼女　成田あかり（光宗薫）　がいるが　ある日　あかりは京志郎の前から姿を消してしまい　名前も実家も全て嘘だったと分かる・・・



あかりが好きだった京志郎は　寂しさのあまりか　志乃に気持ちが流れ　志乃も疑心暗鬼ながら受け入れ　二人は付き合うことになる。
順調だった二人の関係は　小説家志望だったあかりの作品が　ヒットすることから狂い始める。
京志郎の元へ戻りたいあかり・・・　見過ごせない京志郎・・・　そして彼を信じようとするも疑ってしまう志乃・・・



都会の片隅での　ありがちな男女関係を　田口トモロヲ監督が　東京のリアル感漂う視点で捉えています。
志乃の友人　ナナコ（木村文乃）　や　レンタルビデオ店の同僚　川谷（菅田将暉）　や　天ちゃんの所属する　売れない劇団と　そこに属する面々。
お金はなくとも　イキイキと駆け抜ける若者の青春に　羨ましさを感じます。

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at Home/アットホーム（2015年 ファントム・フィルム）

俺が盗んできた家族は　誰にも奪わせない。



森山和彦（武野内豊）　　森山皐月（松雪泰子）
森山淳（坂口健太郎）　　森山明日香（黒島結菜）
森山隆史（池田優斗）

ごくごく普通の幸せそうな一家。
だが　父は泥棒　母は結婚詐欺師　長男は偽造職人　長女と次男も家族の生業を知っている。
この家族は何故　危ない橋を渡りながら生きているのか・・・全てが明らかになったとき　愛情という言葉さえも軽々しく感じ　決して許されることではないが　感動を感じ得ずにいられなかった・・・



夕食時の団欒の中　今日も和彦は本日の成果を　皐月は新たなカモの報告と相談を　和気あいあいと家族に行っている。中学三年の長女　明日香は成績がよく名門私立高校への進学を密かに願っている。次男隆史は家族以外との交流を避け　ゲームの世界に浸かっている。長男の淳は大黒柱の和彦を支えながら　和彦の刑務所仲間だった　ゲンジ（國村隼）　のもとで偽造の腕を磨き　常に家族のことを第一に考えている。



ある時　皐月が　カモにしようと目論んでいた不動産王の息子　ミツル（村本大輔）　に見透かされ　拉致されてしまう。皐月を助けるため　家族は危険を顧みず動き出す・・・
過剰な家族愛を持つ森山家の面々は　皐月を傷つけたミツルが許せず　隆史は持ち出した拳銃の引き金を引いてしまう・・・
そして　罪を被った和彦は　再び長い刑務所生活となってしまう・・・

虐待　性暴力　DV　とそれぞれが重い事情を持ち　偶然にも出会ったそれぞれを　優しい気持ちで包み　迎え入れることから　血は繋がっていないが　心は深く繋がっている家族が生まれる。
決して許されない生業であり　無関係の人々を傷つけずとも被害者にしてしまっているが　羨ましく感じる家族像の表現が素晴らしく　深い作品です。

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新宿スワン（2015年 ソニー・ピクチャーズエンターテイメント）

新宿歌舞伎町の裏社会　「風俗スカウト」　を描いた　園子温作品。



金も仕事もなく　フラフラと歌舞伎町を歩いていた　白鳥龍彦（綾野剛）　はチンピラと揉め事になり　こっぴどくやられてしまう。
が　それを眺めていた　真虎（伊勢谷友介）　に見初められ　風俗嬢のスカウトとして　「バースト」　へ入社する。バカで勘違いな龍彦だが　人道に反することは我慢ならないといった男気があり　女を落とすスカウトではなく　幸せにするスカウトを志し　アフターケアも一生懸命に行う。



同じく歌舞伎町を根城にするスカウト会社「ハーレム」には　南秀吉（山田孝之）　葉山豊（金子ノブアキ）　を中心とした武闘派が多く　縄張り争いも耐えない。

腕力に自信のある龍彦は　敵対するスカウトと争いながらも　歌舞伎町をゆく女性たちに声を掛け　水商売の仕事を斡旋し　紹介料を掴んでいく。個性の強い様々な人物や出来事と対峙しながら　龍彦は一人の男として成長していく・・・



龍彦が所属するバーストの社長　山城神（豊原功補）　そのケツ持ちは　天野修善（吉田鋼太郎）　真虎と並ぶバーストの幹部で　超武闘派の　関玄介（深水元基）。
人道に反してシャブを売買している秀吉に薬漬けにされてしまうが　龍彦に救われるヒロイン　アゲハ（沢尻エリカ）　歌舞伎町のクラブママで顔が利く　涼子（山田優）。
他に　村上淳　久保田悠来　真野恵里菜　丸高愛美　一ノ瀬ワタル　長田成哉　安田顕　らの個性が交じり合い　原作のイメージを壊さず　スパイスが加わったような作品です。

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奇跡（2011年 ギャガ）

あなたもきっと　誰かの奇跡。

2011年3月に全線開通を迎える九州新幹線を題材に　両親の離婚から離れ離れになってしまった兄弟が　家族を取り戻そうとする姿を描いた感動作。



定職に就かず　メジャーデビューを夢見てバンドを続ける　木南健次（オダギリジョー）　に愛想を尽かした妻　大迫のぞみ（大塚寧々）　は離婚。
これにより　鹿児島県と福岡県で離れ離れに暮らす　小学六年生の兄　大迫航一（前田航基/まえだまえだ）　と小学四年生の弟　木南龍之介（前田旺志郎/まえだまえだ）。
二人は　いつかまた家族四人で暮らすことを願っている。



九州新幹線が全線開業する日の朝　兄弟は　鹿児島から福岡に向かう新幹線「つばめ」と福岡から鹿児島に向かう「さくら」が初めてすれ違ったとき　願い事が叶うという噂を信じて　級友や周りの大人たちを巻き込んで計画を立てる。
そして無謀と思われた子供たちの計画は　少しずつ形を現し　決行の日を迎える・・・



それぞれに願い事や夢を持ち　幼いながらも葛藤している兄弟の友人たちを加えて　波乱の中　計画は進んでいく。
そして　とうとう「つばめ」と「さくら」がすれ違う瞬間　航一　と　龍之介　が込めた願いは・・・当初とは異なるものに変わっていた・・・

幼い兄弟が両親の都合によって生活を一変され　寂しさ　葛藤　孤独　の中で優しさを大きく成長させる　感動ストーリーです。

他に　夏川結衣　阿部寛　長澤まさみ　原田芳雄　樹木希林　橋爪功　らが子供たちを取り巻く　家族　先生　祖父母らを演じ　作品に人間味と厚みを加えています。

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天国からのエール（2011年 アスミック・エース）

「本気で叱ってくれた　本気で愛してくれた」
沖縄の小さな弁当屋で生まれた　奇跡の実話



沖縄で小さな弁当屋　あじさい　を営む　大城陽（阿部寛）　は弁当を買いに来る高校生たち　比嘉アヤ（桜庭ななみ）　真喜志ユウヤ（矢野聖人）　伊野波カイ（森崎ウィン）　仲村キヨシ（野村周平）　がロックバンドの練習場所に困っていることを知る。

妻の　美智子（ミムラ）　にも事後報告で　弁当屋の空いている敷地に自分でスタジオを建て始める。陽には　音楽が好きな若者を支えてやりたいと思う理由があった・・・



次第に陽を慕い　ニィニィと呼び　スタジオ建設を手伝う若者が増えてくる。
そして完成したスタジオは無償で彼らに提供される。スタジオを使える条件は三つ・・・「挨拶をすること」「赤点をとらないこと」「人の痛みが分かる人間になること」

時に優しく　時に厳しく　古き良き次代の日本にはよく見られた光景が　沖縄の田舎町に広がっていく。
そんな陽を高校生たちは慕うのだが　陽には癌という病が襲い掛かっていた・・・



そして　アヤたちのバンドがチャンスを掴みかけたとき　陽は　彼を慕う人たちに囲まれながら息を引き取る・・・

陽への想いも込めて　フェスで熱く演奏した　アヤたちのバンドは　プロデビューのチャンスを掴み上京・・・　そして　あじさい　では陽の遺志を継ぐ　美智子が家族と　陽の遺影と共に音楽好きの若者を支え　場所を提供し続けている。

他に　吉田妙子　謝敷玲来　田辺啓太　ヒガリノ

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インターハイ（2016年）

７月末から８月にかけて「中国インターハイ空手道競技」を観戦しました。
地区予選を勝ち抜いた高校生たちの　気持ちと技術がぶつかり合い　熱戦　接戦　激戦も多く　観ているこちらも思わず声をあげてしまうほど熱くなりました。



特に組手競技は熱く　父兄やメンバーに選ばれなかった各校の部員たちも　声を枯らしての応援でした。
野球　サッカー　バレーボール　バスケットボール　のように試合途中で選手交代が可能な競技もあれば　柔道　剣道　テニス　卓球　などのように団体戦試合前にオーダーを提出して以降は選手交代が出来ない競技もあります。



空手競技の団体戦は７名の選手登録で　５名が戦います。
レギュラーメンバーのほかに２名の控え選手が登録されていることになります。試合前のウォーミングアップ会場には　この７名しか入れず　空手道着が着れるのもゼッケンを貰えるのも７名です。

メンバーに入れなかった選手たちからすれば　メンバー入りを勝ち取った選手が良く映るかもしれません・・・が　彼らには彼らなりの試練があります。
レギュラーメンバー５名のウォーミングアップを優先して行い　その中で　自身の身体と戦う気持ちの準備を整えます。そして・・・監督からの次戦団体戦メンバー発表を待ちます・・・　が　出場はありません。
これを３日間　各試合毎に繰り返します。

レギュラーメンバーは　戦うことを前提に準備しますが　２名の控えメンバーは出場できるかどうか分からないままに　準備を整えます。
年齢も学年も関係なく　実力の世界ということを分かって入部しているつもりですが・・・

そして３日間　試合に出場することはなく彼らのインターハイは終わりました。



彼らは　悔しさと共に　出場メンバーには勝ってもらいたい　でも自分も出場したい　様々な思いを抱えながら　試合を応援しています。
出場して優秀な成績を残した選手たちは勿論ですが　彼らをサポートし　気持ちを作ることが難しい状況の中でしっかりと　万が一の際を想定して戦う準備を整える・・・

このような選手も大勢います。いっそのことメンバーから外れていたほうが　気が楽だったと思うこともあるでしょう・・・　しかし　その経験は彼らを成長させ　人への優しさを　より一層持てるようにしてくれると思います。

３年生は最後のインターハイ・・・　終えた１人の選手に　「よく頑張ったな　強くなったな」　と涙ながらに声を掛けることが　私の精一杯でした。

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ゴールデンスランバー（2010年 東宝）

舞台は杜の都・仙台。初の地元出身となる金田首相の凱旋パレード中　ラジコンヘリが爆発。衆目の中　首相暗殺事件が発生する。
その頃　宅配便ドライバーの　青柳雅春（堺雅人）は　大学の旧友である　森田森吾（吉岡秀隆）　と数年来の再会を果たしていた。　が　どこか様子のおかしい森田は青柳に　「お前　オズワルドにされるぞ」　と告げる。
何のことか分からない　青柳に向かって二人の警察官が拳銃を構えた。逃げ出した青柳の背中で　森田が残る自動車は爆破・・・森田は死亡。意味がわからないままひた走り　青柳は逃げ出した……。



元宅配業の青柳は　二年前　暴漢に襲われていたアイドル　凛香（貫地谷しほり）　を偶然助けたことで　一躍時の人となり　地元では誰もが知る有名人。
街中では　青柳が暗殺現場にいたことを証言する目撃者や　ラジコン店に居る証拠映像などが続々と現れ　彼の顔写真や映像が繰り返し流される・・・　身に覚えのない証拠と　警察やマスコミを意のままに操る　見えない大きな力によって　無実の暗殺犯に仕立てられていく。



絶体絶命の中　元恋人の　樋口晴子（竹内結子）　や　大学の後輩　小野一夫（劇団ひとり）　ら　青柳を信頼する人たちの力を借り　窮地から救われながら　逃走を重ねる・・・
謎の犯罪者　キルオ（濱田岳）　怪しい入院患者　保土ヶ谷康志（柄本明）　らの助けもあったが　警察庁警備局総合情報課課長補佐　佐々木一太郎（香川照之）　らに追い詰められてしまう青柳は　遂に投降の時を迎えるが・・・

他に　大森南朋　ベンガル　相武紗季　永島敏行　石丸謙二郎　ソニン　でんでん　滝藤賢一　鈴木福　木下隆行　岩松了　山口良一　木内みどり　伊東四郎　竜雷太

凶悪な暗殺事件が題材ですが　その中に学生時代の淡い思い出や　当時からの繋がり・・・　時を経ても変わらない　青春時代を共に過ごした仲間への友情　など温かい情景が印象に残る作品です。

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オー！ファーザー（2014年 ワーナー・ブラザーズ映画）

伊坂幸太郎　の小説を基に作られた　サスペンスコメディ。



高校生の　由紀夫（岡田将生）　には父親が四人いる。
大学に勤める　悟（佐野史郎）　ギャンブラーの　鷹（河原雅彦）　体育教師の　勲（宮川大輔）　元ホストの　葵（村上淳）。
由紀夫を身ごもったとき　母親は四股交際中・・・男たちは別れるくらいなら　四人で子供を育てることを決意し　珍妙な家族生活が始まった。



高校生になり　何かと干渉してくる父親たちを　煩わしく思い　友達の　多恵子（忽那汐里）　からも父親たち全員に似ていると言われ　複雑さも感じている・・・
が　どの父親も由紀夫に対する愛情は深く　それなりに楽しくありがたいことも多い生活を送っている。

ある日　由紀夫はサラリーマン風の男が鞄をすり替えられる現場を目撃する。それをきっかけに　由紀夫は監視され　家は荒らされる。更に仲の良かった同級生が突然不登校になり　背景には街のフィクサーが関わっているという危ない出来事・・・
不可解な心中事件や　裏がありそうな選挙戦　などなど　珍妙ながらも幸せだった生活が　大変な事態に発展する・・・



調べれば　由紀夫は誰の子供かわかるであろうが　あえてそうせずに四人の子供として育て　各々が父親だと名乗っている。
しかし　諍いはなく四人が協力して家庭を守り　妻を愛し　由紀夫を愛している様子が　四人の個性と合わさって　温かいコメディになっています。

他に　賀来賢人　　駿河太郎　　古村比呂　　橋本マナミ　　柄本明

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ふつうが一番（2016年 TBS）

東山紀之　松たか子　の初共演で　直木賞作家・藤沢周平　とその家族を描いたドラマ。何気なく録画していたのを見ましたが　昭和40年代の結婚観や　世間体　に対して　真っ直ぐに人を愛し　信じる女性を　松たか子　が見事に表現しています。



藤沢周平（東山紀之）　は小説家を夢見ながら　小菅留治　の本名で小さな専門新聞の記者として働いている。
妻は一人娘の　展子（熊坂澪）　を生んだ数ヵ月後に亡くなり　病気がちな母　たきゑ（草笛光子）　を故郷の山形から呼び寄せ　3人で暮らしている。
小さな新聞社ゆえに　収入は少ないが　贅沢をせずに慎ましく暮らしている中　高澤和子（松たか子）　と出会い　彼女の実直さや慎ましさに魅かれ　再婚を決意する。



しかし　時代がゆえに　和子の父　庄太郎（前田吟）　には反対される・・・思いの丈を熱く伝え　何とか結婚を認めてもらうものの　今度は娘の展子が　学校で揶揄される・・・
幸せと苦労を乗り越えながら　たきゑから渡される一日500円で　ギリギリの生活を送りつつ　穏やかに暮らしていた。



ある日　小学生となった　展子（小林星蘭）　は反抗期に入り　些細なきっかけで家を出て行ってしまう。そのことに対して　周平は和子を責め　たきゑは和子の気持ちを汲めない　周平を叱る。

妻に先立たれ　希望を失いながらも一人娘を必死に育てる周平。世間体にとらわれず　周平と展子とたきゑを愛し　共に幸せになろうと真っ直ぐな和子。

そして家族の元に　夢にまで見た　「直木賞」受賞の知らせが届く・・・

たきゑ　がいるからこそ成立している夫婦と親子・・・私自身が生まれた年代ということもあってか思い入れを感じました。

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プレゼント（2016年）

随分若い頃に　カミさんと一緒に買った　G-COOL　を愛用していたのですが　とうとう皮製のバンドがヨレヨレに・・・

余裕もないので　代わりのバンドを探していたのですが　G-COOL　の古いタイプなので　合うバンドがない！

諦めて安価なバンドを・・・と仕方なく思っていたところ　カミさんが　「買えば」と　時計をプレゼントしてくれました。

確かに　父の日と誕生日が近いけれども　我が家にそんな余裕はないハズ・・・
なのですが　長く同じ時計を使っていたので　また　永く愛用できるいいものを　と　時計店へ・・・

何件か一緒回って　悩んだ結果　Tendence　が　MRAK&LONA　とコラボした200本限定モデル　を購入しました。
昨年のモデルなので定価ではないにしても高価な買い物です。



ありがとう　大切に永く愛用します。

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わたし出すわ（2009年 アスミック・エース）

函館の高等学校を卒業し上京。数年で大きな財を成し故郷へ戻った　山吹摩耶（小雪）　は路面電車の運転手である同級生　道上保（井坂俊哉）　の夢　世界の路面電車めぐりへ　「わたし出すわ」　と200万を差し出す。

更に　当時の高校日本記録を更新し　実業団で長距離ランナーとして活躍するも　故障でかつての走りが出来なくなっていた同級生　川上孝（山中崇）　にはアメリカでの手術費用　恐らく数千万を出す。



それを知った養魚試験場研究員の同級生　保利満（小澤征悦）　が冗談交じりに研究費を出してくれる？　と言えば　摩耶はいとも簡単に「出すわよ」と答える。

自分のことを一番の美女と信じ　精一杯の努力の結果　玉の輿をゲットし　贅沢三昧の生活を送る同級生　魚住サキ（黒谷友香）　は夫が突然死亡し　経営していた会社の不正が明らかになっていく・・・そのサキに　摩耶は1700万相当の金塊を手渡す。

平場さくら（小池栄子）　は消費者金融に勤める夫　まさる（ピエール瀧）　に頼まれ　趣味で行っている箱庭作りが高じて　箱庭協会の会長職を買うための金を　摩耶に申し出て　これも「わたし出すわ」とあっさり答える。



決して少なくはないお金を出して貰ったときの本人　その家族の反応は様々・・・
摩耶は何故大金を持っているのか　何故5人の同級生にお金を出そうと考えたのか　他に謎の仲介屋　溝口雅也（仲村トオル）　や　怪しい実業家　天草大二郎（袴田吉彦）　など疑問満載の作品です。

北川景子　藤田弓子　永島敏行　鈴木亮平　天光眞弓

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海街diary（2015年 東宝/ギャガ）

父が死んで　鎌倉の家に　腹違いの妹がやってきました・・・
海の見える街を舞台に　四姉妹が絆を紡いでいく。
深く心に響く　家族の物語。



鎌倉の古い家に住む三姉妹　香田幸/長女（綾瀬はるか）　佳乃/次女（長澤まさみ）　千佳/三女（夏帆）　のもとに　15年前家族を捨てた父の訃報が届く。
母も再婚して去ってしまった家で行われた父の葬儀・・・そこで三姉妹は腹違いの妹　浅野すず（広瀬すず）　と出会う。

三姉妹から父を奪ったすずの母は他界し　後に再婚した義母とその幼い連れ子を支え　気丈に振舞う中学生のすず。
幸は思わず声を掛ける・・・「鎌倉で一緒に暮らさない？」
突然の申し出に戸惑いながらも　すすは即答する・・・「いきます」と。



そして　鎌倉の古い町並みの中で　四姉妹となった新たな生活が始まる。
看護士の幸は　小児科医（堤真一）　と不倫恋愛の末　別れたような・・・信用金庫で働くの佳乃は　お金にルーズで追い立てられているな恋人（坂口健太郎）　に貢いでいたが振られたような・・・　千佳は勤めるスポーツ店の　一風変わった店長（池田貴史）　と付き合っているようないないような・・・すずは転校先で入った　サッカーチームの少年（前田旺志郎）　と両思いのような片思いのような・・・　四人それぞれに小さな物語があるが　良い意味で曖昧なまま描写されています。



あくまでも　戸惑い　気を遣いながら始まった四姉妹が　少しずつ自分をさらけ出し　互いを理解し　想いを深めていくところに物語の芯があり　それを浮き立たせるように　四姉妹の物語や　街の人たち　二ノ宮さち子/海猫食堂店主（風吹ジュン）　福田仙一/山猫亭店主（リリー・フランキー）　と　親族　菊池史代/大船のおばちゃん（樹木希林）　佐々木都/三姉妹の母（大竹しのぶ）　が寄り添っている印象の優しい物語です。

江ノ島電鉄極楽寺駅界隈の町並みと　四姉妹が暮らす古い家　俳優たちの雰囲気　カメラワークと映像・・・　などなど全てが素晴らしく　温かい作品です。

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陽だまりの彼女（2013年 東宝/アスミックエース）

それは　10年ぶりの再会から始まった。
一生に一度だけの「初恋」が起こす　かつてない「奇跡」
驚きと嬉しさに涙があふれる　永遠のファンタジック・ラブストーリー



広告会社に勤める社会人二年目の　奥田浩介（松本潤）　は訪れた営業先で中学時代の同級生　渡来真緒（上野樹里）　と再会する。
真緒の上司　新藤春樹（玉山鉄二）　との関係が気になるものの　仕事を通じて真緒との距離は縮まっていく・・・そして二人の協力で仕事は上手くいき　真緒からのキスを始まりに二人は付き合い始める。

ある日のデートの後　真緒に連れられて　突然実家へ・・・真緒の父　渡来幸三（塩見三省）　と母　渡来真由子（木内みどり）　を前に結婚を宣言する。
そこで浩介は　幸三から　真緒は13歳までの記憶がなく　全生活史健忘　であることを告げられる。



結婚して幸せに暮らす二人だが　真緒の身には異変が起こり始め　大量の抜け毛や異常な痩せ方が見え始め　病院に行っても異常は見当たらない・・・
そんな中　団地の隣に住む子供がベランダから落ちそうになり　浩介も必死に手を伸ばすが届かず・・・
落下する子供をベランダから飛び出した真緒が空中で受け止め　そのまま無傷で着地・・・その光景を見た浩介は驚き　真緒はショックを受ける。

翌朝　朝刊を取りに行ったまま真緒は消えてしまう・・・真緒のことは関わった全ての人の記憶から消えていた・・・



そしてある時　公園を歩いていた浩介の元に一匹の猫が寄ってくる・・・撫でていると「猫・・・お好きなんですか？」と　飼い主である真緒の声が・・・

中学生の頃に　助けた猫が人間に姿を変えて　限られた時間を好きな人と過ごす・・・
キャッチコピー通りの　ファンタジック・ラブストーリー　ながら　本当に好きな人と出会えて　それ以外は何も求めない　喜びと幸せにあふれた真緒の瞳を　上野樹里　が　愛らしく　切なく　見事に表現しています。

菅田将暉　夏木マリ　田中要次　谷村美月　小藪千豊　大倉孝二　とよた真帆　らの俳優もそれぞれの役どころにあった雰囲気を醸し出し　ベタな恋愛ものになりそうな題材を　懐かしくも儚く　そして感動する作品に仕上げています。

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雪に願うこと（2006年 ビターズ・エンド）

東京での成功を目指し　毛嫌いしていた故郷と　家族を捨てた　矢崎学(伊勢谷友介)。事業を起こし　結婚する際も　兄　威夫（佐藤浩市）　だけは仕方なく呼んだが　田舎臭い母　静子（草笛光子）　を恥じて死んだと偽っているほどだった。
が　事業に失敗し　資産も　家族も　仲間も　人脈も　全てを失い　行き場のなくなった学は　13年ぶりに威夫を頼り故郷に帰って来た。



「ばんえい競馬」の厩舎を営む　調教師の威夫は訝しく思いながらも　厩務員見習いとして馬の世話をさせる。
厩舎で働く人達や　環境を　どこか見下したような学だが　食事などの世話をする　田中晴子（小泉今日子）　や　女性騎手の　首藤牧恵（吹石一恵）　そして　ウンリュウ　という競走馬と関わる内に　人として大切なことに気付き始める。



そんな中　老人ホームで13年ぶりに再会した母は痴呆になっていて　本人とは気付かずに　学のことを誇らしげに語る。　その姿に　胸に迫る後悔と悲しみに声もなく涙がこぼれるのだった。
学はウンリュウの世話をしながら　やがて馬肉にされてしまう馬に　今の自分を重ね合わせていく・・・
ウンリュウ再生に賭ける学。そして最後のレースの日がやってくる。



人生に挫折した若者が　何百キロものソリを曳き　障害を越える輓馬（ばんば）のレースと出会い再生していく姿を描くヒューマンドラマです。

他に　香川照之　小澤征悦　椎名桔平　津川雅彦　山崎務　でんでん　などが出演。

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CHiLDREN チルドレン（2006年 WOWOW）

家庭裁判所の調査官　武藤俊介（坂口憲二）　と　陣内達也(大森南朋)　は銀行強盗の巻き添えを食い　人質になってしまう。
どうにか解放された武藤は　同じく解放された　青木美春（小西真奈美）　が気を失いかけたところを抱きかかえる。後輩武藤の一目惚れを見逃さなかった陣内は　あれこれと余計な世話を焼き　武藤をけしかける。

書店で店員として働く　三春だが　彼女の叔父が経営する書店は　万引きを見てみぬ振りする書店　として有名で　学生達はやりたい放題だった。
更に　美春自身も過去のトラウマからか　スーパーで万引きを繰り返し　自分が暮らす書店二階の部屋には多くの万引き品が隠されていた。



また　ある高校生　木原志朗（三浦春馬）　の調査を行っていた陣内は　付き添いで同席した　父親（國村準）　とのどこかよそよそしい関係性に疑念を持つ。
実は　父親と名乗る男は　事業に失敗して借金に追われ　家族とも離れてしまい　自暴自棄になって　木原邸へ強盗に入った男だった。


銀行強盗事件の結末　万引き見逃し書店と店員の過去　万引き高校生と父親だという男の関係・・・　の側面や本質を　家裁調査官の目線を主に捉えていて　かわった感覚の邦画です。
大森南朋の　破天荒に見えて本質を感じるが　少々ウザイ調査官と　坂口憲二が見せる内向的で臆病な調査官も新鮮です。

他に　小林隆　渡辺典子　近藤芳正　田口浩正　加瀬亮　など。



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四十九日のレシピ（2013年 ギャガ）

母の遺言は　四十九日の大宴会でした。



突然　妻の乙美（荻野友里）　を亡くし　生きる気力を失っていた　熱田良平（石橋蓮司）　の元に　日焼けした黄色い髪の　井本幸恵/愛称イモ（二階堂ふみ）　が突然訪れる。
イモは　生前の乙美から頼まれ　四十九日までの家事や　良平の世話を頼まれていたのだ。
ズカズカと熱田家にあがり込み　乙美が生前作っていた　レシピカード　を探し出し　「これ　やろう！」と告げるイモ。そこには「四十九日のレシピ」と書かれていた。

戸惑いながらも　乙美の気持ちと　イモを受け入れようとする良平・・・
そこへ　結婚して東京で暮らしていた娘　百合子（永作博美）　が帰って来た。彼女は夫である　高岩浩之（原田泰造）　の浮気が原因で結婚生活を諦め　離婚届を残して戻って来たのだった。
更に　イモは同じく乙美に世話になった日系ブラジル人の　カルロス矢部/愛称ハル（岡田将生）　を呼び込み　4人の奇妙な生活と四十九日への準備が始まる。



乙美の希望通り　四十九日の大宴会を開催すべく準備を進める4人・・・大宴会とはいえ　何をすればいいのか迷った百合子は　乙美の「人生の年表」を作って貼り出そうとするが　思いつくままに書き込んだ年表は空白だらけ・・・

四十九日まであと少し・・・良平と百合子は　乙美の人生を辿り始める・・・
そんな中でそれぞれの想いや境遇が少しずつ明らかになる。



堅物で不器用な父と　結婚するものの子供が出来ないことで苦しむ娘　自分の子供ではない娘に有り余る愛情を注ぐ継母　複雑な事情を抱える人達が　1人の女性の下に絡み合う感動作です。

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行きずりの街（2010年 東映）

東京へ出たまま連絡が取れなくなった教え子を探す元教師。
別れた妻との運命的な出会いと　かつて自分を追放した名門女学園の闇に迫り　失われた時間と自己の誇りを　取り戻そうとするラブミステリー。



丹波篠山で塾講師として働く　波多野和郎（仲村トオル）　は祖母が危篤にもかかわらず　連絡が取れなくなっていた教え子の　広瀬ゆかり（南沢奈央）　を探しに東京を訪れる。
ゆかりが暮らす麻布のマンションは　とても若い娘が借りられる部屋ではない高級マンションで　部屋を訪れた波多野は何者が物色した形跡を発見。
さらに　中込安弘（窪塚洋介）　と名乗る怪しい男と　その仲間が　ゆかりの行方を追っていて　波多野にも危害を加える・・・



事件の背後には12年前　自分を都内の名門女子高から追放した男達がいることを知り　かつての学園関係者が出入りしていた六本木のバーを訪れる。
名門の敬愛女学園で教師をしていた波多野は　生徒の手塚雅子（小西真奈美）　との恋愛スキャンダルが原因で　教職を追われた過去があった。
そして　そのバーを経営する女性　雅子と再会する。
雅子は　波多野が学園教師当時の生徒で　愛し合い　卒業を待って結婚するも　学園内で問題視され　追放されることになり　別れてしまった妻だった。

離婚後　逃げるように東京を後にしていた波多野だが　雅子への愛情と後悔の念を持ち続けていて　ゆかりを探す過程で　雅子が経営しているバーへ辿り着き　長い年月を経て再会する。
その一方　ゆかりの失踪に学園の裏が関与していることを知った波多野は、その奥深い闇へと足を踏み入れることになる……。



過去や自責の念に苦しみながらも　1人の女性への想いを持ち続け　自らの道を切り開こうとする波多野を　仲村トオル　が・・・　彼への想いを奥に抱え　前を見て強く生きようとするヒロインを　小西真奈美　が熱く演じています。
他に　佐藤江梨子　谷村美月　杉本哲太　ARATA　石橋蓮司　などが脇を固めています。

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ぼくたちの家族（2014年 ファントムフィルム）

夫婦と二人の息子。母親の病気をきっかけに　家族が一つになっていく様を描いた　「感動」　という言葉だけでは表せない物語です。



脱サラして小さな会社の社長ではあるが　若菜克明（長塚京三）　は借金が重なり困窮している。
妻の　玲子（原田美枝子）　は物忘れがひどくなり　検査を受けると末期の脳腫瘍で　余命1週間と診断される。
突然の事態に　克明は取り乱し　社会人で間もなく父親になる長男　浩介（妻夫木聡）　は唖然とし　大学生の次男　俊平（池松壮亮）　は平静を装う・・・

医者に見離された玲子のために　残った男3人は　「悪あがき」　を決意する。
が　決意を削ぐように　家庭内の経済破綻や不信感などが明るみに出る・・・
父は多額の借金を抱え　母はサラ金で金を借りていて・・・波風立っていなかったように見えていた若菜家は　立ち行かないほどの問題を抱えていた。



頼りない克明を奮い立たせながら　浩介と俊平は　母のため　家族のために　何とかしようと動き出す。

真面目で一生懸命ながら　不器用で事が上手く回らない父親を　長塚京三が　引きこもりを克服し　社会生活をまっとうに営んでいる長男を　妻夫木聡が　病状により躁鬱を繰り返すも　素晴らしい人柄がうかがえる母親を　原田美枝子が　そして表面上はあっけらかんとしているが　最も家族愛が深いと感じさせる次男を　池松壮亮が・・・見事な表現力です。
そして　ワンシーンですが　ようやく見つけた引き受け先の病院での　医者（鶴見辰吾）　とのシーン・・・　この場面に涙します。



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ばしゃ馬さんとビッグマウス（2013年 東映）

学生時代からシナリオライターを目指して　ばしゃ馬の如く　僅かな時間も惜しんで書き続ける　馬淵みち代（麻生久美子）　はシナリオスクールで　妙に自信家で　独自論を展開するが　一度もシナリオを書いたことのない　ビッグマウス　天童義美（安田章大）　と出会う。



人のシナリオをけなすくせに　自分は書いたことがなく　そのくせ自信過剰な　天童に　みち代は嫌悪感を抱くが　天童はみち代に一目ぼれ・・・

シナリオや夢に対する考え方は　水と油の二人だが　シナリオスクールの同期生や　元彼　松尾健志（岡田義徳）　らと巻き起こる騒動に翻弄されながら　自己を見つめ直し　次第に互いを理解しあうようになっていく。



そして　天童はみち代に認めてもらうため　シナリオを書き始め　コンテストを目指して　二人は切磋琢磨する仲へと発展する。



イタイ二人を　麻生久美子　と　安田章大　がコミカルに演じ　井上順　松金よね子　秋野暢子　がそれぞれの親役で個性を添える　青春コメディです。

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タグ：邦画 東映 ばしゃ馬さんとビッグマウス 麻生久美子 安田章大 井上順 松金よね子 秋野暢子 青春コメディ シナリオライター 岡田義徳

歩いても歩いても（2008年 シネカノン）

頑固で素直さもないが　内心では妻に感謝し　子供たちを尊重している　開業医を引退した　父　横山恭平（原田芳雄）。

夫に尽くし　他のことでも自らを抑えているようだが　確固たる信念をもち　強く家族を支えてきた妻　横山とし子（樹木希林）。

15年前に他界した兄と比較されながら育ち　父親の恭平ともソリが合わず　失業中ということも重なって　実家に居心地の悪さを抱いているが　実は父親を尊敬している　横山良多（阿部寛）。

良多と再婚したばかりの　横山ゆかり（夏川結衣）　と　連れ子の　あつし（田中祥平）。



兄の命日に帰省するも　最初は姉の　片岡ちなみ（YOU）　片岡信夫（高橋和也）　夫婦とその子供たちがいて　実家を改装しての二世帯同居を相談している。
が　とし子は良多が戻ってきにくくなると　気が進まない・・・

他にも　30年以上も前から知っていて黙っていた　恭平の浮気を　とし子が遠まわしにバラしたり　ゆかりに良多との子供はどうするのか　など妻であり女である心理を絶妙な言い回しや　嫌味で話している。

そんな一泊二日の帰省中　老いていく両親と　その姿に心の壁が少しずつ崩れていく良多。

7年後・・・恭子もとし子も亡くなり　良多一家は海辺の墓地にいた。　ゆかり　と　高校生になった　あつし　と　そして幼い女の子が一緒に・・・

含んで　思わせ振りで　いい顔して　遠まわしで　家族の情景を内面から深く捉え　　何でもない会話や日常を　悲哀を込めて絶妙な間合いと空気感で表現しています。

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ヴァイブレータ（2003年 ステューディオスリー/シネカノン）

寺島しのぶ　と　大森南朋　・・・繊細であり大胆な演技で　病んだ心と　苦悩からの再生を　目と表情で表現している　二人芝居です。



フリールポライター　早川玲(寺島しのぶ)　31歳。自分の頭内で渦巻き　氾濫する　声に悩み　不眠　過食　嘔吐　を繰り返すアルコール依存症。

ある雪の夜　コンビニで見かけた1人の男　岡部希寿（大森南朋）　に目を奪われ　彼を食べたい　という直感と欲望の赴くまま　アイドリングの振動を感じながら　車内で行きずりの関係を持つ。



夜明けを迎え　一度はトラックを降りる玲だが　思い返してトラックに乗り込む。
そして　フリーの長距離トラッカーである　岡部と行動を共にし　言葉や肌を重ねることで　玲の心は少しずつ癒されていく・・・


やがて　トラックは二人がであったコンビニへ戻り　玲は岡部と別れる・・・
「彼を食べて　彼に食べられた。ただそれだけのことだった」と感じながら　玲は自分自身が　「いいもの」になった気がしていた・・・そして悩まされていた　声　も消えていた・・・




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フィッシュストーリー（2009年 ショウゲート）

2012年・・・彗星が地球に衝突するまで　あと・・・5時間。
人々が非難する中　街で唯一営業するレコード店。もうすぐ世界が終わると不気味に語る　客（石丸謙二郎）　と　正義の味方が世界を救うと言い返す　店長（大森南朋）。

時はさかのぼり　

1975年
繁樹（伊藤淳史）　五郎（高良健吾）　亮二（大川内利充）　鉄矢（渋川清彦）　は　逆鱗　というバンドでプロになるものの　鳴かず飛ばず・・・
解散前の最後のレコーディングで　FISH STORY　という曲を残し　この曲が時空を超えて奇跡を起こす　種となる・・・



1982年
大学生の　雅史（濱田岳）　は気が弱く合コンでもパシりのような扱いをされている。そんな中　霊感が強いという一人の女子の言葉に駆り立てられ　暗い帰り道で襲われている女性を助ける。

1999年
ノストラダムスの大予言で　世界が終わるとされた7の月。谷口（石丸謙二郎）　の言葉を信じて人々は集まる・・・が翌日になっても世界はいつも通りで　責められた谷口は　2012年に世界が終わると　叫ぶ。

2009年
高校生の　麻美（多部未華子）　は居眠りをしてしまい　修学旅行のフェリーに取り残されてしまう。間もなくその船は　シージャック　に遭ってしまうが　船でコックをしている　正義の味方（森山未來）　が大活躍　無事に助かる・・・



過去からの様々なエピソードが収束されて　最後に繋がる・・・不思議な感覚の邦画です。伊坂幸太郎原作　中村義洋監督　のコンビで　アヒルと鴨のコインロッカー　では　ボブディランの楽曲がテーマになっていました。今回は　斉藤和義　が音楽をプロデュースしていて　ロックながらも心地よい音楽が映像とよく合っています。

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人のセックスを笑うな（2008年 東京テアトル）

恋におちる。世界がかわる。19歳のボクと39歳のユリのいかれた冬の物語。



美術学校に通う　みるめ（松山ケンイチ）　は偶然出会った　学校の非常勤講師　ユリ（永作博美）　からモデルを頼まれて引き受ける。
アトリエで裸になった　みるめは　ユリと身体を交わし　恋におちる。

いつもツルんでいる　堂本（忍成修吾）　に問いただされ嬉しそうに告白するが　同じくツルんでいて　みるめに好意を寄せている　えんちゃん（蒼井優）　は曇りがち・・・

ある日　学校にユリがいなかった事から　学生課で住所を盗み見て　ユリの家を訪ねたみるめ。猪熊カメラ工房と看板が掲げられた家には　ユリの父親かと思うほどの年齢の男性が・・・それはユリの夫　猪熊さん（あがた森魚）　・・・ユリは既婚者だった。



ユリはあっけらかんとしているが　みるめは「不倫」という事実に思い悩む。話したい　会いたい　想いを抑えるため　みるめは携帯電話を針金で封印し　出られないようにする。
電話に出ないみるめを心配した　えりちゃんは家を訪ね　事情を聞き　つい応援してしまうことになる・・・

えりちゃんと一緒にユリを探して　アトリエや共同個展を開いていた場所を尋ねるものの　ユリは見つからない。
そして　ユリから連絡があり　彼女は猪熊さんとインドへ出掛け　帰国もいつか不明ということだった・・・



会えなければ終わるなんて　そんなもんじゃないだろう・・・

19歳で女性経験の少ない若者が　39歳の人妻に溺れてしまう。若い頃を思い出すような時代背景と映像が心地よい邦画です。
ドロドロな不倫話ではなく　年代の感性をリアルに描いています。

美術学校の講師　山田先生（温水洋一）　や　じいちゃん（三代目桂春團冶）　もいいキャラクターです。

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ふしぎな岬の物語（2014年 東映）

海と花畑に囲まれた里で　小さな喫茶店を営む女店主と　店に集う人々との　心温まる交流を描いた人間ドラマ。



早くに夫を亡くし　心の安寧を求める　柏木悦子（吉永小百合）。彼女が岬の突端で営む「岬カフェ」には　珈琲と彼女を目当てに人が集まってくる。
45歳になる甥の　柏木浩司（阿部寛）　は　はやらない何でも屋を営みながら　30年来の常連客で不動産屋に勤める　タニさん（笑福亭鶴瓶）　と共に　悦子を献身的に見守っている。

そんな穏やかな中　常連客の娘で　長い間音信普通だった　竜崎みどり（竹内結子）　が突然帰郷することで　里に少しの変化が起こり始める。



突然の病気で母を亡くした幼い娘と父・・・　親から継いだ家業をダメにしてしまいどうしようもなくなってカフェに入った泥棒・・・　自らの意思を通して結婚したが上手くいかずに出戻った漁師の娘・・・　その娘と身体を悪くした父親との交わり・・・　会社から子会社への異動を伝えられ落胆する常連客・・・

そして　事件が起こり　悦子の秘めていた心の声が　吐き出される・・・



純朴な人々の中で　ささやかだが　心温まるエピソードが連なり　人は支えながら生きている　という事を考えさせられます。

井浦新　笹野高史　らが作品に寄り添うような印象も感じました。

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麦子さんと（2013年 ファントムフィルム）

声優を目指しながらアニメショップでアルバイトをしている　小岩麦子（堀北真希）　は定職につかずにフラフラしながらも　どこか妹思いの兄　小岩憲男（松田龍平）　と二人で細々と暮らしている。

そこへある日突然　兄妹を捨てて出て行った母親　赤池彩子（余貴美子）　が訪れ　一緒に暮らしたいと言い出す。動揺する麦子と　怒り心頭の憲男だが　彩子からの仕送りを黙っていたバツの悪さと　仕送りがなくなると困る　という理由から　憲男は彩子と暮らすことを了承する。

しかし　憲男はすぐに彼女との同棲のために家を出て行き　彩子と二人暮しになってしまった麦子は何かと反発するも　少しずつ距離が縮まっていくように感じる。



が　末期がんの彩子は突然この世を去ってしまう・・・

麦子は納骨の為に　母の故郷を訪れる。そこで彼女は次々に　彩子ちゃん？　と街の人々から声を掛けられる。そう麦子は若い頃の彩子にそっくりで　彩子はアイドルを目指していた街の人気者だった。

偶然駅で麦子を乗せることになるタクシーの運転手　井本まなぶ（温水洋一）　や　旅館を営む　春男（ガダルカナルタカ）　夏枝（ふせえり）　夫婦　母の友人であり　同じように子供を置いて離婚してしまった　ミチル（麻生佑未）　・・・

母のファンやストーカー　親友たちと関わる中で　彩子の過去や人生を知っていき　　それまでとは違う思いを抱いていく・・・



堀北真希だけではなく　競演の役者さんたちが　凛とした部分と　だらしない部分とを上手く表現していて　感じるところがある作品です。

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みんなのいえ（2001年 東宝）

１４年ほど前の　三谷幸喜作品　を見つけて観ました。



放送作家の　飯島直介（田中直樹/ココリコ）　と　民子（八木亜希子）　夫妻は家を新築することになり　民子の同窓で建築デザイナーの　柳沢英寿（唐沢寿明）　に設計とデザインを依頼し　施工は大工の棟梁である民子の父　岩田長一郎（田中邦衛）　に頼んだ。

ここから　三谷作品独特の小気味いいテンポとドタバタ・・・そして少しの感動劇が始まる



昔気質の長一郎は　伝統の在来工法で丈夫な家　そして和室にもこだわりを見せる・・・　一方　モダニズム建築に傾倒する英寿は　従来の工法にとらわれず　細かな部分でも長一郎と対立してしまう。
間に立つ　優柔不断で自己主張が弱い　直介　や　実父と同窓生の間で双方の面子を立てなければならない　民子。それに長一郎が可愛がる設計士の　須賀（白井晃）　や　何かと派手な直介の母　飯島セツ子（野際陽子）　などなど　個性的なキャラクターの掛け合いがあちこちで広がりながら　近年の三谷作品とは少し異なる感覚も入り混じって楽しめます。



伊原剛志　八名信夫　松本幸四郎　山寺宏一　清水ミチコ　小日向文世　松重豊　大塚範一　中井貴一　明石家さんま　真田広之　戸田恵子　香取慎吾　などなども　脇やちょっとした役どころで際立っています。

そして大嵐の夜　長一郎は心配になり建築現場を見に行くと　そこには同じく心配になった英寿も来ていた・・・
時代は違えど職人同士　少しずつお互いを理解し始める長一郎と英寿・・・そこから妙な感覚で駆けつけた直介が加わり　３人の共同作業が始まる。

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