八日目の蝉（2011年 松竹）

どしゃぶりの雨の中で起きた誘拐事件　犯人は父の愛人　連れ去られたのは 私　私はその人を 本当の「母」だと信じて生きてきた。



野々宮希和子 （永作博美）　は子供を身ごもったが　不倫の末の妊娠であり　出産を諦める。中絶を頼んだ不倫相手に　妻との離婚の意思はなく　言葉とは裏腹に妻との間にも子供が出来ていた。
ある日　希和子はこの赤ちゃんを殺そうとする・・・が　微笑む赤ちゃんを見て・・・盗んでしまう。



希和子　と　薫（誘拐した赤ちゃん）　は宗教施設に逃れて　ひっそりと過ごすが　この宗教施設がとある事件で社会やマスコミから糾弾を受け　居場所がバレてしまう。

宗教施設で知り合った友人の実家である　小豆島に渡り　素麺屋で働きながら平穏と思われる日々を過ごす。　が　日本の伝統行事である　「虫送りの祭り」　が新聞記事になり　希和子と薫の写真が大きく掲載されてしまう。



覚悟を決めた　希和子は　写真館で薫と記念写真を撮り　学校・海・山・寺　などで楽しい思い出を作ろうとする・・・　そして逃げようとするフェリー乗り場で　偽りの親娘は引き裂かれ　希和子は捕まってしまう。

時が流れ　薫は本当の両親との間で　本当の名前　恵理菜（井上真央）　として育っているが　なんとなく父母に馴染めず　しかも希和子と同じく　不倫相手の子供を妊娠してしまう。そして宗教施設時代　姉妹のように育った　安藤千草（小池栄子）　と記憶を辿る旅に出る。



そして・・・自らの生い立ちを探る恵理菜と興味深く同行する千草　恵理菜と馴染めずに発狂寸前の実母の独白　法廷での希和子の回想　から物語は深く深く　人の心を描写していきます。

希和子役　永作博美の表情とセリフ一言一言が　とても重たく　過去と現在が繋がるたびに　覆い被さってくる　とてつもない大きさの愛情に　感動します。　
また　男性恐怖症という設定の千草を　小池栄子が見事に表現しています。　もちろん　井上真央　と　子役（渡邊このみ）　も素晴らしいのですが　かすんでしまうほどの　永作博美の表現力です。母性愛を中心に　様々な愛の形が　心情深いところで表現されています。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（敬称略）

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